眠りに入る前、ユーゴは考えていた。勿論、リンについてだ。
ユーゴが見る限り、リンは綺麗な若草の髪色と特徴あるふわふわした髪型の美少女である。育ちは良さそうだし、何故こんな田舎に、山奥に住んでいるんだ?
「明日も会いてーな。」
何度か雨漏りをしたのだろうか。木目の天井にいくつもの不気味なシミが付いていた。
突然、出会えた始めての知り合い。
「感謝してるぜ、リン。」
そう呟いたあと、ユーゴは眠りに入った。
−−−後日
ユーゴはリンに会えないまま、両親を手伝いながら過ごしていた。
手伝いをして居たから会えなかった訳ではない。何度も何度もリンと歩いた道を行ったり来たりもしたが、彼女は現れなかった。
「リンっていう子は学校に通っているんじゃないの?」
両親の片方がいう。
「そうなのか……なら、下に降りる必要があるな。」
ここに来るとき、車窓から都市部程ではないか華やかな町並みが写っていた。
勿論、学校らしき建物も見えた。
もしかしたら、リンもそこに通っているのだろうか?
また、ここからでも微かに町並み見える。……距離は徒歩7時間ぐらいで険しい道のりだ。
山道をかなり進んだ所に走るバスも二時間に一回あるか無いか位だから、自転車(たまに押しながら)で行くのが普通だ。
「いや、待てよ。」
毎朝、リンはそこに行けるのか?
行けだとしたら、リンはこの山奥に住んでいないだろう。
「……違う。」
リンは言っていたじゃないか。
−−『"長年"この山奥に住んでいるリンよ。』
「すまない、リンは確かに"長年"住んでいるって言っていたんだ。」
違う山道を探ればリンに会える。
また、ユーゴは山道を探りながら歩き始めた。
リンとハイタッチしたのは嘘にしないためにも、もう一度、会いたいんだ。話したいんだ。
やり直すために。
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