リリーと過ごした10日間は、予想通りとても穏やかで、落ち着いていて────それでも、毎日が新鮮で楽しかった。
悪戯仕掛人と一緒にいる時のようなエキセントリックな感覚はないけど、例えば道端に生えていた花の蕾がやっと開いたとか、夏の日差しに伸びる影のお陰で背がすごく高くなったみたいだとか、そんな小さなことで笑い合えるような、優しい幸せに満ちていた。

正直、彼女との出会い方はあまり良いものではなかった。それでも私達はこうして一番の友達になって、一緒に夏休みを過ごせるまでの仲になれている。それを思うと、ふとした瞬間に改めてこの関係に感動してしまう────それはまさに、奇跡のようだと。
私は太陽の日差しに輝くリリーの赤い髪が大好きだった。優しく微笑む時にきらめく緑の瞳が大好きだった。私の名前を呼んでくれる楽しげな声が、大好きだった。

マグルの街を目的もなく練り歩くのは、随分と久しぶりのことだった。4年も魔法界にいると、それまで当たり前だったマグルの世界が急に高性能なハイテクマシンで埋め尽くされた未来都市のように見えてくる。魔法の方が余程存在としては神秘的なのに、すっかりそちらに慣れてしまっていたからだろう、改めて歩くと、いかに魔法の使えない人間が科学技術を駆使してこの非魔法界を繁栄させてきたのか、その偉大さにおののく。

リリーはある日、デパートに私を連れて行くと、そこで可愛らしいブルーのワンピースを買ってくれた。

「良かったらお休みの日に着て! 監督生の就任祝い!」
「えっ、そんな…うわあ…ありがとう、リリー!」

ここで受け取らなかったら却って失礼になってしまうと思ったので、私は喜んでリリーからプレゼントを受け取った。よく晴れた、今日の夏空みたいに綺麗な青だった。
いつかリリーにちゃんとお返しをしよう、と自分に約束する。

それ以外の日は、毎日同じような日を繰り返していた。
朝はゆっくり起きて、昼は市街地をウィンドーショッピングして周り、夜にはやっぱり一緒にご飯を作って、おしゃべりをして、寝るだけ。
それでもそんな和やかな毎日が、私には何より楽しいもののように思えた。
親友と2人で過ごす休暇って、こんなに楽しいんだ!

夏休みの最終週には、ダイアゴン横丁へ教科書を買いに行った(リリーは他にも新しい羽根ペンを買いたいと言って、文房具店にも行っていた)。

そして、来たる9月1日。
私はちゃんとリリーにもらったワンピースもトランクに詰めて、彼女と一緒にキングズクロス駅へと向かった。

「えーと…監督生は一旦、専用のコンパーメントに行かないといけないみたいなんだ。顔合わせと一通りの見回りが終わったら解放されるはずだけど…待たせるのも悪いし、良かったらリリーも他の友達と一緒にいて」
「ええ、わかったわ。でも私、結構一人旅も好きなの。よっぽど熱烈なお誘いがない限り、あなたのことを待ってるわね」

リリーは笑ってひとり、先に汽車に乗って行った。

私は駅に残り、悪戯仕掛人の姿を────探すまでもなかった、すっかり学校の有名人になっている4人組は、遠目から見てもよく目立っていた。ちらほらと悪意に満ちた目も向けられているけど、だいたいが好意的な視線。この4年で、彼らの"カリスマ"の地位はいよいよ不動のものになっていた。

「イリス」

人混みの中から、私の姿を見つけてくれたのはシリウス。次いでジェームズも「よ、監督生!」と早速笑いかけてくる。後からリーマスとピーターもそれぞれ挨拶してくれた。

彼らはちょうど、ポッター夫妻とお別れをしているところだった。2人も私と改めてハグや握手をしてくれ、「また1年、楽しんでね」と笑いかけてくれる。

「リーマスとイリスは先に監督生専用コンパーメントに行くんだったっけか?」
「偉くなったもんだよなあ。我が友よ」
「よく言うよ、自分達は1年生の時から"新時代のカリスマ"って気取ってたくせに」
「"稀代の優等生"にそんなお褒めの言葉をいただけるとはね」

相変わらずの私とシリウスの嫌味の応酬を、リーマスが「まあまあ」と宥め、私達は改めて汽車に乗り込んだ。私とリーマスは前方のコンパートメントへ、シリウス達3人は「じゃあまた後で!」と後方のコンパートメントを探しに行った。

「他の寮の監督生ってどんな人なんだろうね」
「さあ…。あんまり尖った人がいないと良いなあ…」
「はは、一応監督生である以上、みんなそれなりに協調性はある…と期待してるよ…」

お互いに弱腰になりながら、監督生用のコンパートメントを開く。
遅めに乗車したからだろうか、中にはもう既に6人────他の寮の監督生が全員揃っていた。

「あなた達がグリフィンドールの監督生?」

ブロンドの髪をひとつに束ねた女子が柔らかい声で尋ねてきた。

「ああ。僕はリーマス・ルーピン」
「私はイリス・リヴィア。よろしく」
「よろしくね。今ちょうど私達も自己紹介をしようとしていたところだったの。私はハッフルパフのアンナ・キングトンよ」

アンナが優しく空いた席に座るよう促してくれる。
そして、アンナの隣にいた男の子が小さく手を挙げた。

「じゃあ、順番的に次は僕かな。ハッフルパフのウィリアム・レインだよ、よろしく」

良かった、ハッフルパフの2人はとりあえず友好的だ。

次に視線が向けられたのは、鼻が高くて青い瞳を持った美人だった────なんだか、誰かに似ている気がする。

「私はレイブンクローのメイリア・マゴット」

彼女の名前を聞いた時、私はその既視感の正体に気づいた。

「あなた、もしかしてマチルダの妹さん?」
「姉を知ってるの?」
「うん。2年生の時、ちょっとお世話になったことがあって」
「そうなのね。姉は今年主席になったわ」
「わあ…流石だね」
「ありがとう。私ともよろしくね、イリス」

2年生の時、一度だけ行ったスラグ・クラブで出会ったレイブンクローの才女、マチルダ・マゴット。思わずぼうっと見惚れてしまうような美人さんだけど、とても気さくなお姉さんだった。そんなマチルダの妹さんなら、きっと大丈夫だろう。にっこり笑って、私は彼女と握手を交わす。

「僕もレイブンクロー。名前はレイ・ハックだ」

レイは少しぶっきらぼうな口調でそう言ったが、丁寧なことに私達全員に軽く会釈をしてくれた。
レイブンクローの2人も、うまく付き合っていけそう、とホッとする。

だから、心配なのはこの後────。

「…スザンヌ・ドイル」

寮の名前すら言わず(まあもう言わなくてもわかるんだけど)、どうしてこんなことをしなきゃいけないのかと不満げな様子でぶっきらぼうに名乗る女子。スリザリンの監督生だ。基本的に他人に関心がない、といった様子で儀礼的に全員のことを見回していたけど、その視線が私に向いた時────私は、彼女からハッキリとした敵意を感じた。

え、待って。私この子のこと授業でしか見たことないし、話したこともないんだけど。
恨まれてる? マグル生まれだから? それとも"カリスマ"の仲間だから?
…恨みの原因に思い当たる節が多すぎて、早くも胃が痛くなってきた。

「僕はヘンリー・スペンサーだ。寮はスリザリン。よろしく」

男子の方は、とても気取ったような態度を取っていたものの、一応"ちゃんとした"自己紹介をしてくれた。そう、それで良いの…。仲良しこよしになろうとは言わないから…せめて対立さえ生まないでいてくれれば…。

すると、同じようにコンパートメント内をぐるりと見回したヘンリーの視線が、またしても私のところで止まった。しかし今度感じたのは、敵意じゃない。ドイルの時みたいなしかめ面も、唇を噛み締めるような動きもなく────むしろ、親しみさえ含んだような微笑みを浮かべられた。

よくわかんないけど…ひとまずそれが友好の印だって言うのなら、ありがたく受け取っておくことにしよう。私もぎこちない微笑みを返す。

「ええと、私達、一定時間ごとに通路を見回らないといけないのよね。じゃあ、グリフィンドール、レイブンクロー、ハッフルパフ、スリザリンの順で10分毎、10分のインターバルを挟んで交代っていうのでどうかしら?」

自己紹介が終わるや否や、メイリアがきびきびと職務の割り振りを提案する。まるでマチルダがクィディッチの解説をしている時みたいだ、と思った。何も知らずに彼女の喋り方を聞いていたら怖い人と勘違いしていたかもしれないけど、マチルダの例があるお陰で私は穏やかな気持ちで「わかった」と言うことができた。
特に反対意見もなかったので、私達はそれぞれの友人の元へ────あるいはその場に残る形で散った。

「私達、2両目で友達と待ち合わせてるの。10分経ったら声を掛けて」

メイリアの声を背中に受けつつ、トップバッターの私とリーマスは早速通路を練り歩く。

「"監督生"って言うから、何をするんだろうって結構不安だったんだけどさ」

歩いて各コンパートメントの中を確認しながら、リーマスが口を開いた。

「────どう考えてもジェームズ達以上に厄介な生徒なんていないよね?」

それがあまりにも軽い調子だったものだから、つい私は笑ってしまう。

「あの人達と4年間一緒にいたんだから鍛えられてるよね、私達も」
「うん。大抵の面倒事には対処できるような気がしてきてたんだ」

もしかして本当にそれが理由で私達が監督生になったのだろうか、とわかるはずもないダンブルドア先生の心中に一瞬だけ思いを馳せる。

「ほら、だって見て…」

リーマスが指したのは、4両目のコンパーメント。中では蛙チョコレートを大量に開封して、車内を蛙まみれにしている生徒がはしゃいで楽しんでいた。

「…あんなの、僕でも笑って乗っかれるよ」

────しかし、彼のその言葉を聞いた瞬間、私は今の会話がとんでもない過ちであったことに気づいてしまった。

「…リーマス、もしかしたら私達が監督生になったのは間違いだったのかも」
「どうして?」
「…"悪いこと"の基準がものすごく高くなってる気がする。大抵の面倒事を"対処する"んじゃなくて、"スルーする"私が…いるような…」

あの2人のやることについて行けたんだから大丈夫、と元気になった心が瞬時に萎んだ。
逆だ。あの2人のやることに下手について行ってしまったせいで、私達の感覚は完全に麻痺してる。規則を目の前で破られても、減点するどころか一緒になって笑ってしまいそうだ。

「……ホグワーツの規則をもう一度読み直しておこう」

リーマスも急に神妙な口調になってそう言った。

それから私達はあえて厳しい目を持って廊下を見回った。ただ、実際コンパートメント内での蛙チョコレート撒布も、ペットの大喧嘩も、生徒の取っ組み合いも、全部注意すべきなのかどうなのかが全くわからず、結局素通りしてしまったわけなんだけど。

勝手がよくわからないまま、それでも10分経ってしまったので、私達はトボトボと2両目に戻り、メイリアに交代を告げた。

「ありがとう。10分後にレイと一緒に見回るわ」

成果は全く挙げられていないが、ひとまずこれから私達は1時間程度自由になる。

「エバンズの所に行く前に、一旦こっちに寄ってく?」とリーマスが言うので、私は喜んでついて行くことにした。
悪戯仕掛人のコンパートメントは相変わらず4人だけで占領されていた。勝手にシャッフルされるトランプを使って健全に遊んでいる────かのように見えるが、私達は即座にそこに"賭け"が入っていることに気づいた。誰かが勝利する度に、シックル銀貨が誰かの元へ移動していくのだ。

「────リーマス」
「うん。これは僕でもわかる」

果たして自分達の基準がちゃんと"一般的な監督生の基準"とマッチするのか改めて不安に思いながら────それぞれ空いたスペースに腰掛けた。

「お疲れ、監督生」
「職権乱用して早速誰かを減点してきたか? ま、もっともまだ学期が始まってないから減らす点も何もないけどな」

こっちを見もせずにシリウスとジェームズが声を掛けてくる。

「そうすると、まず賭け事をしてる君達から減点しないといけなくなるんだけどな」
「だーいじょうぶだって。これはただのスリル要素、お飾りの硬貨さ。ゲームが終わったらちゃんとベットした分は持ち主のところに全部戻るから」
「ま、誰がいくら投資したかはあんまり覚えてないんだけど」
「頼むからあんまり困らせないでくれ────」

リーマスが頭を抱えている。それでも笑いを噛み殺せていないのは、誰の目から見ても明らかだった。ちょうどその時ピーターがボロ負けして、彼の手元の銀貨が全てなくなったところで、彼らはトランプを脇にやり「さて、監督生が戻って来たところで本題に入ろう」と言った(ジェームズの言った通り、いくらかの銀貨が勝手に移動して持ち主のところに帰っているようだったが────ピーターの手持ちがやたら少ないのは、元々の賭け金が少なかったせいだろうか。それとも…?)。

「────動物もどきの話だ。どうする、いつ決行する?」
「ああ、できるなら最初の満月が来る前に済ませちまいたいな」

聞いている人がいないことはわかっていたが、私達は顔を突き合わせ、小声で囁き合う。

「薬なら、ホグワーツに戻ってから1週間で完成させられる」
「オッケー、じゃあ明日の昼に一度様子を見に行って、1週間後の夜にやろう」

シリウスの淀みない言葉を受けて、ジェームズが日取りを決めた。

「ば…場所は?」
「必要の部屋で良いだろ」
「あの、でも、その、爆発したら…」
「プリンセス・監督生がご教授くださった魔法だぜ。失敗するはずないだろ」

怯えるピーターに、これまたジェームズが嫌味ったらしく返した(それでも私のことを信頼しての言葉なんだからたちが悪い)。

「イリスも異名が多くて大変だな。優等生、プリンセス、監督生…あと何が欲しい?」
「え、もう何もいらない」
「でも僕ら、真面目に考えてたんだ。彼らが動物もどきになって、新たな姿を手に入れたら、僕らだけの新たな名前を付けようって」

ウンザリして溜息をついた私の興味を再度惹いたのは、リーマスのそんな言葉だった。

「新たな名前?」
「そう。ジェームズの提案なんだけど、せっかく"生まれ変わる"なら様式もそれっぽくしたいって言ってね。要は僕らの間でだけの、秘密の渾名みたいなものだよ」
「リーマスだけはもう決まってるんだ。月夜に現れる狼だから、"ムーニー"。それで、僕らは変化した後にそれにちなんだ名前を付けようと思って」
「へえ」

まあ…確かにそれは面白いアイデアだ。仲間内だけの渾名────確かに言われてみれば、"悪戯仕掛人"なんていう大層なグループ名を付けているくらいなのだから、彼らが"別の姿"になっている間、"別の名"を使いたいと言い出すのは自然なことだと思った。

「だから君にもひとつ、新しい渾名を考えてきたんだ」

いらないって言ったばっかりなのに。いや、そう言ったからこそこの話になったのか。

「私、動物もどきにはならないよ?」
「わかってるよ。君は決して表舞台には出てこない暗役者だ。ホグワーツの歴史において、僕らの悪名と並んで君の名が刻まれることはない」

ジェームズ、表と裏を間違えてるよ。君らは間違いなくアングラ側だよ。

「だがしかし、我らは決して忘れてはならない。常に我らの傍には、名もなき協力者がいたことを。華々しく世を騒がす我らの背後に、誰も敵わない影の立役者がいたことを。そんなネームレスな存在にもやはり、僕らだけが理解できる、僕らだけに通用する"新たな名"が必要なのである」
「…それで、考えてくれたのはどんな名前なの?」
フォクシー

…フォクシー?

「なんでそんな名前?」
「直感で選んだ。シリウスが」

意味がわからずシリウスを見るけど、彼は「なんか名前が降りてきたから」としか言わなかった。

「そういうわけで、今後僕らといる時のイリスはフォクシーだ。覚えておいてくれ」

よくわからない…けど、少なくとも"プリンセス"よりは良いネーミングだと思った。
何より、彼らが"私の優等生としての立場を損なわないようにしつつも、ちゃんと仲間に入れてくれている"という事実が、思ったより嬉しかったらしい。だって彼らは私にとって何より大事な友達なのだから。その友達から、特別な"仲間内だけの渾名"をもらえるのって────監督生になることより、ずっと名誉なことのように思えてしまう。

「えーと、まあ渾名の件はそれで良いとして────とりあえず新学期最初の会合は明日の昼だね。じゃあそろそろ私はリリーのところに────」

戻るよ、と言いかけて、そのリリーから夏休みの間に伝言を預かっていたことを思い出した。
この話はきっと、4人全員に共有した方が良い。

「イリス?」

立ち上がりかけて止まった私を見て、ピーターが不思議そうな声を出す。

「ごめん、大事なことをひとつ伝えるのを忘れてた」
「おい、今更渾名が気に入らないとか言うなよ」
「そうじゃない。スネイプのこと

いちいち冗談に付き合っていられる内容じゃなかったので、私は最初から空気を引き締められる名前を出した。

「スネイプ? あいつがまさかまた何か?」
「端的に言うと、まだリーマスの正体を掴もうとしてる」

その瞬間、リーマスが深い溜息をついた。ピーターがオロオロと手を口に当て、ジェームズはあからさまなしかめ面をし、シリウスは「あの鼻クソ野郎」と罵った。

「リリーが止めようとしてくれてるけど、全然聞いてないみたい。毎月、満月の晩に外を張るって言ってる」
「…どうする? もう一回この間の作戦やっとくか?」

ジェームズが言ったその案は私も一度考えたけど、その後すぐに「これはもう通用しないのではないか」と思い直した。

「一度なら効いたかもしれないけど、スネイプは結局その後1年かけて、もう一度同じ疑問を抱いてるわけでしょ。多分もう、騙されてはくれないよ」
「イリスの言う通りだな。だったらそれよか、一回ガチで痛い目に遭わせた方が────」

私の言うことを肯定しつつも、過激な提案をしたのはシリウスだった。

「それもあんまり良くないと思う」
「なんでだ? 口で言っても聞かない、"リーマス本人"を見せても信じない、だったらもう"追うのは危険だ"と体に教えるしかないだろ」

気持ちはわかる。私だって、どうしてそこまで執拗に追いかけてくるのかと腹が立って仕方ないのだから。

「でも、事を荒立てたらそれだけリーマスの話が広まるリスクが上がる」

これにはシリウスも言い返せないようだった。スネイプひとりのために、リーマスの尊厳を傷つけては本末転倒だと思っているのは、この場にいる全員の共通認識だ。

「────とりあえず、それも含めて明日話し合おう。スネイプが予想以上にしつこすぎて、この場では答えが出ないと思う」

意外にも、冷静に場をまとめたのはジェームズだった。私もそれには同意見だったので、「よろしくね。じゃあまた後で」と言ってコンパーメントを出た。

────扉を閉めるその間際、「しばらくは様子を見るけど、どうしてもあいつが諦めないって言うんなら、こっちも相応の報復を考えるからな────」と言っているシリウスの声が聞こえてしまった。

ああ、どうか何も起こりませんように。



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