勉強は苦手です。




「名字、行くぞ」

「はっはーい」


笠松先輩と黄瀬くんがかばんを持って待っている。

慌てて2人の元へ向かった。



カラカラ…。

笠松先輩が自転車を引き、私たちはその横を歩く。

「名前先輩、持つッス」

黄瀬くんは校門を出た後、スッと手を伸ばして私のかばんを掴んだ。

「え、いいよー」

そんな重くないし、と遠慮するが

「今日の部活結構ハードだったから、先輩疲れてるッス」

黄瀬くんはそんなことを言って、かばんを持ってくれた。

「…ありがとう」

な、なんて優しい後輩なんだ…!

確かに今日はなぜか先輩のことばっかり浮かんで、部活も大変で、疲れたけども…。

「黄瀬くんは優しいなぁ〜」

そう言って黄瀬くんの肩に腕を回し、ぽんぽんと叩いた。
頭に手が届かないのが悔しい。

黄瀬くんは嬉しそうにニコニコしていて、癒された。


「良い後輩を持ちましたね、笠松先輩」

さっきから黙ってる先輩に声をかけた。
スペシャルスマイルつきで。

「…あぁ」

先輩は仏頂面で頷く。
愛想がないなー。


「悪かったな」

「また声出てましたか…」

「「お邪魔しまーす!」」


途中でコンビニに寄り、食糧を買ってから先輩宅に到着。

先輩に案内され、部屋に入った。


なんか…先輩の匂いがする…!


なんだかいたたまれなくなり、その気持ちを紛らわすように黄瀬くんに声をかけた。

「よし黄瀬くん!まずはエロ本探しだ!」

「うッス!」

「荒らすな!!」

2人でクローゼットや机を開けてみる。
…何もなかったが。

こうしてはしゃぐことで、やっといつもの私になれた。



「さっさとやるぞ」

先輩がため息混じりにテーブルを用意してくれる。
私はプリントをその上に置いた。

「お願いしまーす」

「おぅ」

ちなみに黄瀬くんは1人課題をしてます。


「解けるやつから解いてけ。分からなかったら聞け」

「あ、これ分かりません」

「早いわっ!」


先輩の指導の下、黙々と課題を解く私。

「これは、並び替えて連立にして…」

「あぁー…」


黙々と解く…が…

「多いよ!」

課題の量が半端ない。
長い!つらい!難しい!

集中力が切れてしまった。

「先輩〜休憩しましょ〜」

ベソをかきながら先輩に縋った。
「うるせぇ」

「だってこれ多いですよ!」

「やれ」

「うわぁーん」

わぁわぁ喚く私。
かなり頑張ったよ。


「ったく…!」

先輩はガッと私の頭を掴む。

「!?」

そして喚いて開いた私の口に何かを入れた。

「…ひぇんふぁい?」

広がる甘い味。
これは…私の大好きな…

「食って集中力つけろ」

「チョコレート…!」

お、おいしい!
頭使った後のチョコは絶品だ。

どうやら先輩はこうなることを予想し、チョコを買ってくれたらしい。


「ほら、もう少し頑張るぞ」

「…はい」

なだめるような先輩の口調に、ドキリとする。

また大人しく課題と向き合った。

ちなみに黄瀬くんは課題を終え、漫画を読んでいます。



「お…終わった…!」

「あぁ…」

「お疲れッスー!」


外が暗くなってきた頃、プリントは答えが埋まった。

「ありがとうございました!」

「おぅ」

絶対無理だと思ったけど、終わった。
途中何度か先輩からチョコを補充され、終わった。

この感動と達成感はやばい!
全国に伝えたい!

「課題達成なう…と」

「つぶやくな」



「「お邪魔しましたー」」

「待て名字、送ってく」

笠松先輩は自分も靴を履き、自転車の鍵を開けた。

「いやいやいや!これ以上迷惑かけられません!」

「黄瀬は逆方向だろ。危ないから」

「全然危なくないですよ!私なんか狙われませんって」

「お前も一応は女なんだ。遠慮すんな」


ポスッ。


私の頭を軽く叩き、歩き出す。


やっぱり今日の私はおかしい。

なんで先輩がこんなに格好良く見えるんだ…。


「じゃあ笠松先輩名前先輩、また学校でー!」

途中で黄瀬くんは道を曲がった。

「おぅ。気を付けて帰れよ」

「名前先輩は笠松先輩に気を付けて!」

「なんでだっ」



先輩と無言で歩く。
なんか…この空気何!?
そわそわする!

「ありがとう、ございました」

「あぁ」

「もうちょっと私、真面目になりますね」

「もうだいぶの間違いだろ」

「…っ厳しいっす」

ぽつりぽつりと会話をする。

なんか先輩とこうゆう感じに話すのって初めてだ。
いつも怒鳴られてるから…。

「そういえば練習試合、もうすぐですね」

「そうだな、来週か」

「勝ちましょうね」

「当たり前だ」

そう言う先輩が頼もしくて、胸がドキドキする。
やっぱり不整脈だ…。



その日は夢に笠松先輩が出てきた。

黄瀬くんもいて、2人が異常に仲良しだった。

私はそんな2人を見て幸せを感じていた。


そして寝坊するのであった。



「名字ー!」

「ごめんなさぁぁぁい!」






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101017

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