カッコカワイイ宣言






「名前せんぱーい!」

キラキラオーラをまとった黄瀬くんが来ると、私の人気は一瞬で奪われた。

「名前先輩頑張ったっス!オレ感動して泣きそうになったっスー」

わーいわーいと自分のことのように喜んでくれる黄瀬くん。



「応援してくれてありがとね」

「あ、そういえば笠松先輩が次グランドでサッカーやるらしいっスよ!」

「え」


そういえば先輩の姿がない。

森山先輩も小堀先輩もそっちへ行ってしまったようだ。


「名前、次の試合まで時間あるし応援行こう!」

「えぇ!?」

情報を聞きつけたマイフレンドが、黄瀬くんに教えてくれてありがとねなんて言いながら腕を引いてきた。


「私の彼氏も笠松さんと一緒にサッカー出るの!いいから行くよ!」

それ、あなたが見たいだけですやん…

という私の呟きは華麗にスルーされ、私たちはグランドへ向かった。






「あ!もう始まってる!」

男子サッカーはすでに始まっていて、スコアを見ると笠松先輩のクラスは追う側になっているようだ。


マイフレンドは私を放置して応援に励んでいる。

私もスコア表から視線をコート内に移した。




「うわ!」

笠松先輩がちょうどボールをもらったところだ。

先輩、バスケ以外はどうなんだろう?

あんまり気にしたことなかったけど、全然出来なかったら笑える。

いや、それはなんか嫌だけど。



なんて思っていたら、先輩は私の心配を他所にどんどん抜いていった。

いやーさすがPGやってるだけありますな。

試合運びがうまい。

団体競技にも慣れてるし、主将だし、うまいこと味方を動かしながら簡単にゴールを決めてしまった。



「やったー!笠松さんすごいじゃん!」

「う、うん」


先輩ってサッカーも出来るんだ。

格好良すぎる。

キャー笠松くーんなんて女の子の声が聞こえ、少しハラハラしてきた。

先輩が人気になったらどうしよう。

ただでさえバスケ部主将で、注目を集める人なのに。


先輩が活躍するたびに私は気が気ではなかった。






結局笠松先輩のクラスも余裕で勝利し、試合が終わった。

先輩のクラスの人たちだろうか、女子が集まってきゃあきゃあ言っている。

笠松先輩は自分に女子が寄ってこないようにするためか、さっさと輪から外れてどこかへ向かってしまった。



「名前、笠松さんにおめでとうって言っておいでよ」

「え、いいよ別に」

「先輩だって応援してくれたんだし、ちゃんとお返ししなきゃダメでしょーほら」


ぐいぐいと肩を押された。

確かに、ありがとうございましたって言わなきゃ。


「い、行ってくる」


部活以外で話しかけるのってなんだか緊張するけど、とりあえず先輩を追いかけよう。






「か、さまつ、さーん」


ドキドキして語尾が小さくなる。

先輩は水飲み場で顔を洗っていた。


「ん、なんだ名字か」


なんだとはなんだ。


「いや、クラスの女子とかじゃなくてよかったと思って」


あ、声出てたか。

というか本当に女子ダメなんだな。



「試合、勝ってよかったですね。おめでとうございます」

「そっちもな」


先輩がそばにあった花壇のレンガに座ったので、私も隣に座る。

「先輩ってサッカーもできるんですね」

「まぁどっかの運痴とは違うからな」

「……」


黙っていると、先輩に顔を覗き込まれた。


「なにふくれてんだよ」

「別に…」


運動できるし、なんか女子に騒がれてるし。

私の知らない先輩がいて、ちょっと不安になった。

バスケ部主将じゃない笠松幸男っていう男子高校生がいるんだなって。

当たり前なんだけど…。




「…何恥ずかしいこと言ってるんだよ」

「ふえ?」

「全部口に出てたぞ、今」

「え…ええええええええ!?」


ちょ、私今めちゃ恥ずかしいこと考えてたよね!?

これ完全に笠松先輩のこと好きですって言ってるようなものじゃないか!

やだ、こんな風にばれるとか最悪すぎる!!



「さっき黄瀬にも似たようなこと言われたけど、お前ら主将主将ってうるせーんだよ」

「え?」

「確かにお前らにとってはバスケ部主将かもしれねーけど、別にそれだけじゃないし」

「…」

「黄瀬なんて、オレたちの主将なのにーとか言って。恥ずかしいなお前も黄瀬も」





き、黄瀬くん…。





グッジョブ…。





いやー良かった。

どうやら笠松先輩は私が黄瀬くんと同じように、自分たちだけの主将でいてほしいって言ってると思ったらしい。

うわあ恋愛の意味でのやきもちってばれなくて良かった。



それにしても、こんなことを言っている笠松先輩。

なんか照れてて可愛いなおい!

まんざらでもないって顔してるぞおい!



「お前、次の試合いいのか?」

「あ、そろそろ行きます」

「オレも今から2試合目だから応援行けねーけど、勝てよ」

「が、頑張ります!」

「次勝って、その次も勝てば決勝だろ?」

「はい」

「決勝なら絶対見に行けるから、それまでに負けんじゃねーぞ」


がしっと頭をつかまれ、ゆさゆさと揺すられた。

恥ずかしいし嬉しいし照れるけど、なんだか勇気が出てきた。

絶対決勝行って、応援してもらおう!

活躍するところ、もう一度見せよう!







「先輩も優勝してくださいよ!」

「あぁ」

「そんで女の子たちにキャーキャー言われてくださいね!」

「絶対嫌だ」





☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
とにかく言いたいことは、長い。
130729 happy birthday YUKIO!!

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