暖かい冬



「大我!帰ろー」

「おぉ」

部活が終わり、名前と火神は帰路に着く。


「ね、ちょっと寄り道してかない?」

「いいぞ」

まだ寒さは残るが、少しずつ日が長くなってきた。

そのまま帰るのが勿体ないと感じた名前の提案。

火神も頷き、進路を変えた。




「ふわぁー寒!」

「そりゃ寒いだろ」

2人がやって来たのは、小さな丘。

ピュウピュウと風が吹き抜ける。

「でも景色はいいねー」

「あぁ」

開けた視界。

柵に手をかけ、名前は街を見下ろした。

火神もその横に立つ。


「次の練習試合、勝てるといいね」

「ばか、勝つんだよ」

「そっか」

へへっと名前は笑う。

そして隣にいる火神を見上げた。

火神はもう練習試合のことを考えているようで、真剣な眼差しで街を見つめていた。

名前はそんな火神に見とれると同時に、少し不満そうな表情。

バスケのことになると、自分を忘れられたようで…。

せっかく2人なのに、と頬を膨らます。



相変わらずの火神に、名前は構ってもらおうと企んだ。


「大我ー」

少し後ろに下がる名前。

「?」

ふっと意識が戻った火神の背中に、ぎゅうっと抱きついた。

「風よけになって!」

「はぁっ?」

火神は小さな衝撃に驚いた。

自分の腰辺りに回る名前の細い腕。

その手はぎゅっと火神の学ランを掴んでいる。

「風強いねーっ」

「おいっ離れろ!」

「誰もいないんだからいいでしょー」

火神は慌てるが、名前は絶対に離れまいとしがみつく。

「確かに誰もいねぇけど…」

「大我、背高いから本当に風よけになるねっ」

「おい」

ふふっと笑い、抱きしめる腕の力を強めた。

「あったかーい」

「ったく…」

ふぅとため息を吐き、火神は名前の手を握った。

「っ大我?」

その暖かさに、名前は押し付けていた顔を上げる。

「手、冷てーな」

「寒いもん…あっためて」

「はいはい」

ぎゅうっと小さな彼女の手を握る大きな手。

名前の顔は、自然と綻んだ。



「練習試合、見に来いよ」

「うん…って結局バスケかい!」

しばらくの後言葉を発した火神。

変わらない彼の思考に、思わず苦笑い。

でも今は、この背中を独り占めだから…

少しくらいなら許してやろうと思った名前であった。












★★★★★★★★★★★★
暖かい冬シリーズ,火神ver.
火神のテーマは
「風よけになって」とヒロインが後ろから抱きつく。
でした(^^)

でかいから本当
風よけになりそう…。
そして相変わらずの
バスケばかですね!
110308

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