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日向くんたちに付き合って、薄暗くなった時間にも関わらず一生懸命に練習する2人を眺める。
木にボールが引っ掛かっただけで何やら争うこの子たちは、本当に協力できるって証明する気があるのだろうか…。

「寒くなってきた…そろそろ終わろうよ」

なんて声をかけながら彼らに近づこうとすると

「君らが初日から問題起こしたっていう1年?」

聞いたことのない声がした。
うお、大きい…!

背の高い男の子がボールを片手に、日向くんたちを見下ろしながら笑っていた。そしてその傍らでは、Tシャツ姿の日向くんを寒そうに見つめる男の子。私もそれには同意だ。




190cm近いという眼鏡の男の子は月島くんというらしい。隣でなぜか誇らしげな山口くんと、この2人が試合の相手か…。なんだか嫌味っぽい月島くんに、影山くんは煽られてどんどん不機嫌になっていく。王様って何の話だろう。

「ちょっとちょっと、チームメイトなんだからそんなに突っかかった言い方しなくていいじゃない」

仲良くやろうぜ!と月島くんたちに声をかけると、冷たい目で見下ろされた。

「誰ですか」
「あ、私は3年の名字名前といって…」
「俺の先生だ!」
「日向きゅん…!可愛い!」
「…なにそれ。マネージャーじゃないんですよね」
「…うん。帰宅部です」
「部外者は首突っ込まないでくれます?迷惑なので」
「……」

それを言われてしまったら、返す言葉はない。確かに私はバレー部には何の関係もない。気まぐれでこの2人に絡んでるだけの暇人だ。

「おい!」
「何」
「名字先輩は部外者なんかじゃない!俺にバレー教えてくれたんだ」
「でも帰宅部なんでしょ?」
「帰宅部でもいい!俺たちに関わってくれたら関係者だろ!」

日向くん…。なんていい子なんだ。
「それに影山なんかもっと前から名字先輩の後輩だ!」とよく分からない威張り方をする日向くんに、月島くんは気圧されたのか黙り込んだ。
そして「あ、そう。どうでもいいけど」と立ち去ってしまった。山口くんは少し申し訳なさそうに私の方に視線を寄越してから、月島くんの後を追って行った。


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201207




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