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09


「俺のターン!俺は【ゴロゴル】を攻撃表示で召喚!」

ゲジ眉のターンになった。
【ゲート・ブロッカー】の所為で遊星のスピードカウンターは0のまま。

【ゴロゴル】
ATK 1350

ゲジ眉の傍に鉄球みたいなモンスターが召喚された。
目が怖いんですけど。
しかも何気にデカイ。

「行けえ【ゴロゴル】!デス・フラット!!」
「「!」」

大きな鉄球がゴロゴロと俺たちに向かって転がってくる。
【スピード・ウォリアー】の攻撃力が2倍になるのは召喚したターンのバトルフェイズのみ。
【ゴロゴル】より攻撃力の低い【スピード・ウォリアー】は破壊され、遊星のライフが3350になった。

「おらおらおらおら〜!逃げられねえぞ!」
「…俺のターン!」

カードをドローした遊星が小さく笑った。
何かいいカードでも引いたのか…?

「チューナーモンスター【ジャンク・シンクロン】を召喚!」

【ジャンク・シンクロン】
ATK 900

「そして永続罠、【エンジェル・リフト】をオープン!」
「なっ…この展開は…!」

【エンジェル・リフト】は、自分の墓地からレベル2以下のモンスター1体を攻撃表示で特殊召喚することができる。
遊星は【スピード・ウォリアー】を選択した。
カードから淡い光を纏いながら【スピード・ウォリアー】が出現する。

「【スピード・ウォリアー】に【ジャンク・シンクロン】をチューニング!集いし星が新たな力を呼び起こす。光さす道となれ!シンクロ召喚!出でよ、【ジャンク・ウォリアー】!」

瓜生戦のときと同じ、シンクロモンスター【ジャンク・ウォリアー】が召喚された。

【ジャンク・ウォリアー】
ATK 2300

【ジャンク・ウォリアー】は飛び上がって空中で一回転する。
そして【ゴロゴル】の後ろへと回り込む。

「スクラップ・フィスト!」

【ゴロゴル】が破壊され、ゲジ眉のライフが4000から3050になった。
ダメージを受けて減速する。

「お前の手の内は分かってるぜえ…。面白くなるのはここからだ!…俺のターン!俺は【ジュッテ・ナイト】を召喚!」

【ジュッテ・ナイト】
ATK 700

ちょんまげ頭の奉行の姿をした小さなモンスターが現れた。
か、顔に似合わず可愛いモンスター持ってんな、こいつ…。

「チューナーか」
「そうだ!シンクロ召喚ならこっちだってできるんだよォ!行くぜ!」

背中に背負った提灯から光が放ち、【ジュッテ・ナイト】を包み込む。
光の玉となった【ジュッテ・ナイト】が1体の【ゲート・ブロッカー】と交わる。

「【ゲート・ブロッカー】に【ジュッテ・ナイト】をチューニング!シンクロ召喚!【ゴヨウ・ガーディアン】!」

【ゴヨウ・ガーディアン】
ATK 2800

歌舞伎役者のような顔に岡っ引きの格好をしたモンスターが俺たちを見下ろしている。
レベル6のくせに攻撃力が2800だと…?

「見やがれ、これが権力だ!行けえ!!ゴヨウ・ラリアット!」

【ゴヨウ・ガーディアン】が手にしているロープを回して勢いをつけるとそのまま投げつける。
ロープの先についている十手が【ジャンク・ウォリアー】に突き刺さり、破壊された。
そして遊星のライフが2850になった。

「まーだだァ!」
「なっ…!」

破壊されたはずの【ジャンク・ウォリアー】が【ゴヨウ・ガーディアン】のロープに絡め捕られていた。
ロープが引っ張られ、【ジャンク・ウォリアー】が宙に浮く。

「【ゴヨウ・ガーディアン】は相手モンスターを破壊した時その破壊を無効にし、コントロールを奪うことができるのだ!そのときモンスターは守備表示となる」

【ジャンク・ウォリアー】
DEF 1300

まさか【ジャンク・ウォリアー】が奪われるとは…!
それにしても攻撃力が高いうえに、破壊を無効にしコントロールを奪う効果まで備わってるモンスターなんて聞いたことがねえ。
遊星の顔に焦りの色が見える。

タイムリミットも刻々と迫って来ていた。

「へっ、俺のスピードカウンターは4!よーし、さらに畳みかける!手札より“Sp-(スピードスペル)”を発動!【ソニック・バスター】!」

【ゴヨウ・ガーディアン】が紫色の光に包まれる。

「“Sp-(スピードスペル)”を使ってきたか…」
「ああ!D・ホイーラーなら当然だ!このカードは自分のフィールドのモンスター1体の攻撃力の半分のダメージをお前のライフに与える!」

今度は【ゴヨウ・ガーディアン】から紫色の光が発射され、俺たちに降り注ぐ。
【ゴヨウ・ガーディアン】の攻撃力は2800…その半分の1400のダメージを食らったということだ。
2850ポイントから1400が引かれ、残りは1450となる。

「さらに手札よりもう一枚、【ソニック・バスター】を発動!」
「に、2回も使うのかよ!」

再び【ゴヨウ・ガーディアン】からの光を受け、ライフが一気に50まで削られてしまった。

「遊星っ、大丈夫か!?」
「あ、ああ…っ」

一度に2800ものダメージを食らい、D・ホイールが減速しゲジ眉の隣に並ぶ。
こんなところで減速してる場合じゃねえってのに!

「ざまあみやがれ!此処から逃げることなんざできねえんだよ!所詮お前のクズデッキじゃ俺のデッキは破れねえ!」
「何が“俺のデッキ”だよ!使用制限を無視した…」

俺が反論しようとしたとき、それ以上は言うなと言わんばかりに遊星がスッと腕を伸ばす。

「…何度も何度もクズとばかり…、他の言葉を知らないのか?」
「何ィ?」

何となくわかる…遊星の声に静かな怒りが込められているのを。
しかし遊星はこれ以上言わず、カードをドローした。



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