短編 | ナノ

「落ち込むな、馬鹿」
「馬鹿馬鹿って…」
「それでなんだ?俺に話したい事って」

俺は忙しいんだぞ…、っとパスタを頬張りながらいう羽柴。

真面目でインテリ系と言われ、大学では研究室に入り浸っている羽柴だが、案外ぬけているところや子供っぽいところがある。


そんなギャップが可愛い…と女からは評判を受けており、羽柴は恋人がいるにも関わらずたびたび告白されているらしかった。

この羽柴の恋人というのが、恐ろしいほどヤキモチ燒きの、独占欲が強い、羽柴溺愛人間なのだが…ひとまずその話は置いておこう。


「あのな…今日はお前を見込んで相談に乗って欲しい事があるんだ」
「…俺に?」
「あぁ…その…男…同士の恋愛について…」

男同士…の部分を、声のボリュームをおとして、顔を赤らめる鷺沼。
羽柴は鷺沼の言葉におや…、っと目を見開く。
鷺沼は男同士の恋愛を嫌悪していないものの、興味なんかないと思っていたからだ。


「なんだ?俺と勝英の事が知りたいのか?」
「いや〜、その…色々と…その」
「言わなかったか?俺と勝英の始まりは勝英が俺をレイ」
「うわぁうわぁー」

あっけらかんと、危うい言葉を白昼堂々こんなお洒落なカフェで言い放とうとする羽柴。
羽柴の言葉が言い終わらないうちに、鷺沼が羽柴の言葉を打ち消すように「わーわー」と叫んだ。
いきなり叫びだした鷺沼に、周りはギョ、っと鷺沼をまるで変人扱いした目で見つめる。
それに気づいた鷺沼は、恥ずかしそうに肩を竦めた。


「なんだよ…聞いといて…」

せっかく喋ってやっているのに…と、羽柴は突然叫んだ鷺沼に少しお冠の様子。

眉をよせ、不機嫌にカチャカチャと音をたてて、フォークにパスタを絡めている。


「いや…えっと話を聞きたいのは…俺がどうしたらいいかって事なんだ…」
「はぁ…?」

どうしたらいいか?
突然の脈拍のない鷺沼の言葉に、羽柴はただ首を傾げた。

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