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リリルクが気にするのも、リリルクの隣にいられるのもきっと後にも先にもこの少年くらいなものじゃないだろうか…。
少年の名前は、クリス。
甘いハニーブラウンの髪を持った、半獣だ。
今は茶色の帽子を被っていてわからないが、帽子を外すと大きな獣耳がある。リリルクが作った服で上手い事隠れているが、尻の方にはフサフサした尾もあった。
クリスはどうやら狼の獣人らしく、生えている耳や尾は狼のものだ。
「ちゃんと帽子を…」
「わかってますよ、ししょー、パニックになっちゃいますもんね」
ニパッと明るく笑いかけるクリス。その笑顔はパッとさいた向日葵のようだ。
「…わかっているならいい…」
リリルクは、そう呟くと、また口をつぐんだ。
口数が少ないリリルクだが、ちゃんとクリスを案じているのだ。
クリスは元々、獣人として迫害を受けていた。
この世界には数多くの獣人が存在する。
この世界は、獣人と獣、それから人間と魔物が入り乱れていた。
中には、クリスのような人型ではなく身の毛もよだつような姿の獣人の人間もいる。
そういった獣人は昔から悪さをする為、人々は獣人というだけで迫害するのだ。
元々は、人間が獣人の領地を奪い、獣人は住む場所を奪われたから人目に現れているというのに。
クリスも、獣人ということで兼ねてから迫害を受け、逃げ惑い山にいるリリルクに保護されたのだ。
といってもリリルクは、極度の人嫌い。最初はクリスなぞ、助けるつもりなんて毛頭なかったのだが……。
「うわ…、ししょー、凄いフルーツでいっぱいです!うわぁ…あれ食べれるのかなぁ…。うわ…あっちにも!」
キラキラと、街の商品を見ながら目を輝かせるクリス。
獣人だと知られればたちまち、人々はクリスを白い目で見られると気づいているのだろうか。
「クリス、」
「ししょ、後で、僕あのふわふわ買いたいです!それから…」
「クリス」
「それから…えぇっと…」
「クリス」
「あっとししょーは何食べます…」
「クリス、」
散々呼んで、ようやくクリスは口をつぐむ。
「…ごめんなさい」
ようやく、クリスははしゃぎすぎた自分を恥じて、小さく肩を落とした。
しゅん…とするその姿は、帽子をとればきっとペタリと耳が垂れているだろう。
もっとはしゃがせても良かったか…?と思う辺り、リリルクはかなりの師匠馬鹿と言えよう、
少年の名前は、クリス。
甘いハニーブラウンの髪を持った、半獣だ。
今は茶色の帽子を被っていてわからないが、帽子を外すと大きな獣耳がある。リリルクが作った服で上手い事隠れているが、尻の方にはフサフサした尾もあった。
クリスはどうやら狼の獣人らしく、生えている耳や尾は狼のものだ。
「ちゃんと帽子を…」
「わかってますよ、ししょー、パニックになっちゃいますもんね」
ニパッと明るく笑いかけるクリス。その笑顔はパッとさいた向日葵のようだ。
「…わかっているならいい…」
リリルクは、そう呟くと、また口をつぐんだ。
口数が少ないリリルクだが、ちゃんとクリスを案じているのだ。
クリスは元々、獣人として迫害を受けていた。
この世界には数多くの獣人が存在する。
この世界は、獣人と獣、それから人間と魔物が入り乱れていた。
中には、クリスのような人型ではなく身の毛もよだつような姿の獣人の人間もいる。
そういった獣人は昔から悪さをする為、人々は獣人というだけで迫害するのだ。
元々は、人間が獣人の領地を奪い、獣人は住む場所を奪われたから人目に現れているというのに。
クリスも、獣人ということで兼ねてから迫害を受け、逃げ惑い山にいるリリルクに保護されたのだ。
といってもリリルクは、極度の人嫌い。最初はクリスなぞ、助けるつもりなんて毛頭なかったのだが……。
「うわ…、ししょー、凄いフルーツでいっぱいです!うわぁ…あれ食べれるのかなぁ…。うわ…あっちにも!」
キラキラと、街の商品を見ながら目を輝かせるクリス。
獣人だと知られればたちまち、人々はクリスを白い目で見られると気づいているのだろうか。
「クリス、」
「ししょ、後で、僕あのふわふわ買いたいです!それから…」
「クリス」
「それから…えぇっと…」
「クリス」
「あっとししょーは何食べます…」
「クリス、」
散々呼んで、ようやくクリスは口をつぐむ。
「…ごめんなさい」
ようやく、クリスははしゃぎすぎた自分を恥じて、小さく肩を落とした。
しゅん…とするその姿は、帽子をとればきっとペタリと耳が垂れているだろう。
もっとはしゃがせても良かったか…?と思う辺り、リリルクはかなりの師匠馬鹿と言えよう、