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side:清

 「未来なんかあったの?」
 「あったっぽいけど、解決したと思う」
 「(??)じゃあ、いいけど」

 ひとまずゆうの家目指して歩く。もう何週間ぶりに会うゆうはPコートにもこもこのマフラーをしてて、前に会った時はマフラーしてなかったと時間の経過を感じる。ずっと見てたからか、不思議そうにゆうがこちらを窺う。

 「?マフラー、する?」
 「いらない。もこもこでかわいい」

 そんな軽口にもすぐ赤く照れる。手持ちぶさたにマフラーの端をいじってる。その手をつかんで自分のポケットにいれる。余計赤くなっていた。

 「きよくん、手つめたい」
 「ゆうは眠いの?すごい熱い」
 「眠くない。きよくん帰ってくるってなったらすごいポカポカして」
 「うん」
 「早く家帰りたい」

 寒さのせいか真っ赤な耳と鼻先でしみじみそう言われて、だんだんと自分にも血が巡るようで、心臓が早くなる。

 「えい」
 「え、あっ!え!!」

 ポケットからゆうの手を出して、手を掴む。そんで見知った道を無駄にけっこう本気で走って引っ張る。ガタガタの体はすぐに酸素が足らなくなるけど、ハイな気持ちが足を動かす。

 「まっ、きよくん、速い速い!ははっ待って、あははっ」

 後ろから笑い声が聞こえて。ひたすら足を動かした。ゆうのマンションに着くころには、二人とも息も絶え絶えだった。

 「はーっ、はーっ、ほら、すぐ、はーっ、着いた」
 「も、きよくん、はぁっ、はっ、突然走るんだもん、ははっ、ふはっ、も、なんなの、あはははっ」
 「はーっ、はぁっ、ゆうが早く帰りたい、って、ははっ、おかしいっ」
 「あははっ、はぁ、はぁ、うん、うん、着いた、着いたねっ、はっ」

 やたらとおかしくて、ゆうの部屋の前で笑い合う。一体なんでまたこんな突然走ったりしたんだか。自分達がおかしくて、ひとしきりそこで笑った。


 「おじゃまします」

 久しぶりに入る部屋は、かわらずゆうの臭いがした。狭い部屋のすぐそこのコンロにゆうが火をかける。おいしそうな臭いが混ざる。

 「きよくん座ってて、今チキンとスープあっためるから」
 「あ、手伝うよ」
 「いいからいいから。男子厨房に入らずだし」

 お前も男子だが。だけどそこまで言ってくれるのを断るのもあれなので、大人しく炬燵にあたる。

 「炬燵あったかい……」
 「寝てていいよー」
 「寝ない、もったいない」
 「(子供みたい)」

 笑ってる声が聞こえる。あったかい炬燵にくるまり、台所に立つ背中を見ていると、とにかくホッとしてあるべきところへ帰れた気がした。



side:雄佐

 「いただきます」
 「いただきますー、あ、チキンおいしー」
 「うん、いいの買ってきてくれてありがとう」
 「んーん」

 炬燵でチキンをパクつく。暖め直したチキンは中々美味しい。きよくんも美味しいって言ってくれてよかった。でもこのトマトソース、たべにく、口の回り赤くなる。口を拭こうと、ティッシュに手伸ばしたら、

 「かぷっ」
 「!!!」

 口、口に軽く歯立てられて、ぺろりと舐められる。ティッシュ握り、あわあわとされるがまま。

 「な、な、なに、なに、」
 「あ、無意識だった。美味しそうだったから、つい」

 な、なんつーこと言うんだ!
 途端、胸いっぱいで息苦しくて、もうチキンは喉を通りそうにない。サラダを取り分けるきよくんの袖を掴む。喉が鳴る。


 「…………っ、じゃあ、もっと、する?」


 口をちょっと開けて。食べられたい舌を覗かせる。ドッドッて速い血液はもうなんもいらない。
 俺がそう言うときよくんは軽く笑った。

 「やっらしい顔」

 俺の顎をつかんで、親指で唇の縁をなぞる。上唇と下唇の境目をなぞって、端から指を中につっこんでくる。
 反対の手で喉をなぞられて、ぞくぞく、興奮して震える。

 「きよくん、んぅ、う」
 「ゆう、自分がどんな顔してるか分かる?」
 「はぁ、はっ、わかんな、わかんない、っ、つめた」

 喉を撫でていた手の甲が頬をなぞる。つめたい。荒れてる。口に入ってた指も抜かれて、両手で、顔を包まれる。顔、ちか。耳を指で塞がれる。きよくんしか見えない。

 「     って」

 久々に近くで見ると、クマひどいし肌荒れてるし、なのに、それがすっごくやらしく見える。きよくん、きよくんの顔のがすごいのに。こんな、こんな顔するのに。

 「んんぅ、んっんんっ、んぁ、はっ、んんっ」

 そのまま、かっぷりと口を食べられて、口内に舌を受け入れる。舌に吸い付かれて、巻き付けるみたいに絡めて、唾液がべちゃべちゃに混ざる。耳塞がれてる分、余計にサラウンドで音が響く。目を閉じるともうワケわかんなかった。

 「んあっ、は、はぁ、ん、あっ」

 下唇を吸われる。震える。視界も耳もぜんぶ埋まる。耳ざわりな血液な音が反響して、一緒にきよくんか俺の鼓動が聞こえる。ぬるぬるする、人のべろ、きよくんのべろ、薄目開けて見ると、きよくんの伏せた目が見えて、ぐつぐつ、体内が煮える。うっとり眺めてたら、突然目開けたきよくんと視線が絡む。抱きつかれて、背中に腕回される。

 「はぁ、あ……ゆう、ゆうだぁ……」

 確かめるみたいに言われて。なんかもう一生離れらんない気がした。



 「んぁ、は、はぁ、きよく、はぁ、は、っ、っ、んぁ、やぁ」

 炬燵から出されて、ちょっと寒い。粗雑にベルト引き抜かれて、スキニーを引きずり下ろされそう。しかしなかなか脱がすのも大変。こういうの。

 「ほっそ。脱がしにくいなこれ」
 「んぁ、あ、じゃあもう履かない」
 「いやいや。履きなよ」
 「やだぁ、もう履かないー」

 そんなこんなで引き抜かれて、パンツ履いたまんま口つけられる。あ、あ、やば、今日のパンツ、色薄いから染みえろい。パンツごしに形なぞられて、涎べちゃべちゃに吸われる。布地のざらざらと、涎のねちゃねちゃが混ざって、寒気がするみたいに。

 「んは、あー…あっあっあっ、あうぅ、う、うう、あっ」
 「すん、っあー、は、ゆうの匂い」
 「嗅がな、嗅がな、でっ、あっあうぅ、くぁっ、あっあっあっあっ」

 パンツを引っ張られると、ガチガチでぴくぴくしてる俺のが出る。久々だし、ベッドじゃないし、すげぇはずかし、あ、やだ、あ、口に含んで

 「んはぁっ、あっ、あ!あぁあーーっ、ひっ、あっ、あ」

 先をくわえられて、きよくんの口に溜められた涎でねっちょり先をなめ回される。ぐちゅぐちゅ音が漏れて、すごくやらしい。きよくんの口の中ぬるぬるで、でもぴったり吸い付いて、じわじわ熱が拡がる。

 「んぁっあっ、あっあっあっあっ、いく、だめ、いく、あっあっあっあっあっあうぅ、あうぅ、あー……」

 バキュームかけながら、頭傾けられてちんこ持ってかれる!ってイきんだら、口を離された。射精のことしか考えられなかったとこで、止められてずくんずくんと腰が跳ねる。や、やだ、いやだーあま、あまイキした、あ…。

 「炬燵に手着いて、こっちにお尻向けて」
 「ん、んぁ、あ、きよく、おれ、ちょっと出た……」

 トロトロの思考の中、炬燵の上に手を置いて、四つん這いみたいにきよくんにお尻向ける。はずかしいのに、余計ちんこから漏れ出す。

 「はやいなぁ、ゆう、ゴムどこ?」
 「スキニーのポケット……」

 きよくんは俺の脱がされたやつのポケットを漁って、ゴムとローションをとる。ぱっきり折られた容器から、ローションが滴る。

 「んはぁっ!あっ、アっ!んは、あ、あっあーあーーあーっ!」

 それを腿なぞるみたいに広げてた指が、中に入ってくる。ゆび、きよくんの、きゅっと締め付けると、指をより感じる。勝手知ったるそれは、中の一点をタッピングする。テーブルに突っ伏す、太股ひきつる、そこを押されると途端に脈が一気に上がるみたいな、気持ちよさと、ちんこしゃぶられる以上の切なさとで、はやく、はやく、おんなのこにしてほしかった。

 「きっつ、一人じゃ触らないの?」
 「んぁ、あっ、だって、こわ、こわいっ、最近はパンツの上から、擦るっだけ、あっ!」
 「パンツの上からやんの?」
 「んっ、んん、ざらざら、きもちぃから、あっ、あぁあっ!」

 こんなこと、尻ほじられながら言うなんて、炬燵布団に我慢汁が垂れる。
指二本目入って、途中で曲げられる。

 「っひ!」

 ぐりっと指の腹がさっきのとこえぐる。ぶわぁと鳥肌立って、しばらく放置してぐんにゃりちんこから、とくとくと濡れる。感覚を言葉にするのは難しいけど、ずっと重いところが一気に軽くなったみたいな、脳の幸せ物質が弾け飛ぶ。きもち、きもちいい。はっはっと犬みたいに呼吸しながら、鼻を鳴らす。それから指が中もったいつけるように撫でながら抜かれる。

 「っあ、あーあー…きよくん、入れて、っちんこ、入れて……っ」

 どうしようもない喪失感にそこをひくつかせてみる。すると炬燵から下ろされる、あう、前から?ドキドキしてると、なぜか炬燵に入れられた。?どうかしたのかな。きよくんは俺と反対側に座る。え、え、なにこれ、なにこれ、放置プレイ?そんなんやだ、放置はきらいだ。燻るっていうには激しい中の疼きに、反対側のきよくんに泣きつく。

 「きよくん、ちんこ、ちんこちょうだいよぉ、なんで炬燵あたるの、ひゃっ!あ!」
 「一回、っ!やってみたく、て!」
 「あっあっあっあっうそうそうそ!あーやだはずかし、あっあっあっ、あっあっあっあっあっあうぅ、あうぅ、あーっあーっ!!」

 な、んでっ!きよくん、炬燵の中でちんこ、入れて、きたっ。
 ぱっと見は二人で向かいに座って炬燵に入ってるんだけど、炬燵の中、その中では俺の腰はきよくんの足の上にあって、ていうかちんこ、入ってて、なんだこれ、こんなん、俺知らない。はーはーと炬燵に突っ伏す、あーずこずこ下から駄目、溶ける、溶けるっっ。さっきまでのところを固くはったちんこのカリ首がとらえていって、腹がひきつる。安心感とかそんな感じの感覚と、擦りきれるみたいな感覚と、一気に発火して白くなる感じ。だめ、もうだめ、わあんない。

 「あうぅ、あうぅ、あっあっあっあっあっあうぅ、待って、待って、はずかし、んぁっあっ!」
 「無理、もう腰止まんない、っ」

 緩急をつけて、一息ついたところをガッツリ突かれて、炬燵の下からぐちょぐちょ、ずぱんと入れて、ぬちょって引き抜かれる。そんな細部まで聞こえないけど、見えない分、余計想像して、入ってる奥の奥、内臓の底が腫れ上がる気がして。きよくんの手が俺の腰掴む。腰に爪立てられて、容赦なくされると、有無言わさぬ感じで余計にとろける。

 「きもちい、あっ!あっあっあっあっきもちい、あっあっあっ、あ"ぅーっ、くっ、んんぅっ、はぁ、あっ!」
 「ゆう、顔上げて」
 「んあっ、あっあっあっあっ、はぁ、あああ、あっ、あー、あひっ、はぁっはぁっ」

 顔を上げると、また両手で顔を掴まれて、下から回転させて、ああ、あそこ引っ張られる。もうだめ、足痙攣する、イく、イきんだら射精する、ずこずこされるねっちょりした熱が、溜まりに溜まって弾けそう。

 「かわい、蕩け顔」

 半開きの口に舌差し込まれて、表面張力で持ってたのが溢れる。





 あの後、いろいろあって、とりあえず今ベッドでうとうとしてる。俺は今日中に渡さないとって、きよくんに包みを渡した。

 「なに、くれるの?」
 「クリスマスプレゼント、お世話になってるから」
 「いいのに。ありがとう。開けてもいい?」

 開けてもらうと、俺の選んだ鞄が出てくる。鞄って面倒かとも思ったんだけど。もだもだと、言い訳する。

 「きよくん、いつもずっと同じのだから、たまには他のも、いいかな、って。あ!趣味じゃなかったら俺使うし!ダメなら言っていいから!」

 ちらって窺うと、すごく嬉しそうに何度も見てた。そんで笑ってくれた。

 「お洒落。すごい、こんないいやつもらっていいのかな、ありがとう」

 きゅん。そんな風に言ってもらえるなら、給料3カ月分くらいの買っちゃいそう。ぽわぽわと枕に当たる。

 きよくんも小さい箱持ってきて開けた。俺に?なんだろ?

 「じゃあこれ、どうぞ」

 開けると対の指輪があって。きよくんに手をとられ、そこに嵌められる。

 「えっえっ!え!」
 「ゆうはこういうの一番喜びそうだから。俺の薬指、あげる」

 おんなじとこに、おんなじのあって。ただでさえ速い心臓が、最早ラットと同程度で。視界に入れるのももったいなくて、薄目でなんども何度もそれを見つめた。




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