電車男ら


大人しい×誘い受チャラ系


 00:19。それの一号車。そいつはいつもそこにいた。
 いつも俺より先に乗車していて、俺が乗るのを確認すると俺を手招きして空いてる隣に案内する。くたびれたスーツとくたびれた顔のリーマンだ。

 「いつもあんがと」
 「ううん」

 そんでお礼を言って、俺がスマホを出す頃にはいつも寝てる。いつも俺の肩に寄りかかりそうで寄りかからず、寝てる。こいつの名前も家も知らないが、降車駅は知ってる。だから寝過ごしそうだったらつついてやってる。

 「それじゃあ、また明日」
 「うーっす」

 そういって、名前も知らないあいつは電車を降りる。少し空いた隣に寂しさを覚えながら、またスマホに目を落とした。






 その日俺は店の記念パーティで死ぬほど飲んで、上機嫌だった。珍しく俺の乗る駅のホームで立ち往生していたそいつに声をかけるほどには。

 「あっれー?どしたのどしたの?」 「あ……」

 酒の匂いを撒き散らしながら、そいつの肩に腕を回すと、そいつはこまったように目を反らした。眼鏡にやった指が軽く震えていて、俺はそれを見ていた。

 「…車両故障のようで…今日はもうここから電車動かないそうなんです…」
 「うっそ!」

 困ったようにため息をつきながら、眼鏡の奥の目が思ったより茶色みがかっているのに気付く。電車が動かないと聞いて、俺には何故かタクシーという選択肢はなかった。もちろん徒歩もなかった。するり、そいつの腕に腕を回す。びく、と強ばる体。かわい。

 「かっこいーおにーさん!」
 「え、は」
 「一緒に泊まろう!な!」

 そうやって半ば引きずる。同じようにホテルを探すスマホ族を後目に、勝手知ったる仕事場の庭。近くのビジホにすべりこんだ。酔いって怖いな。ツインはなくてダブルはあるっていうから、それに疑問は一切なかった。



 「ーっっ!な!なにするんですかぁっ!?ちょ、ちょっと!あっ、うそ…っ!やめ、やめ、だめですぅ…っっ!」

 どろりとベールにかかった視界と思考の中、俺はそいつの股間をなで回してた。シャツを引っ張り出して、張りつめたヘソの下と、薄い体毛を撫でる。それだけなのに、そいつは生娘みたいに目に涙を溜めて頬を赤らめた。

 「んー…いがいとおっき…」

 ベルトを外して、パンツを引きずり下ろすと、反り返るほど立ちあがったのがぶるんと飛び出る。そいつは疲れてるから!疲れてるからなんです!と言い訳をしながら、目を手で覆った。かわいい、ドキドキする。女相手なら一度きりなんて幾度も越えたのに、初めてみたいに股間が痛い。

 「はむ…」

 泥酔してるからなのか、なんの躊躇いもなく、俺はそいつのそれを口にした。それは洗ってないのか、つんとした匂いが鼻をつく。そのキツい匂いがやたらと性的で、涎を舌に溜めながらじゅぽじゅぽと先端を口の中でなめ回す。ちら、視線を上げる。

 「…ほんとっ、もっ、やめて、あっ、あ、こんなこと、だめですって、あっひ!」

 顔を覆って喚くそいつは、電車で泥のように寝るそいつとは似ても似つかなかった。どきどきと、酒と別の鼓動と焦りを感じて、根本まで、口に含む。舌を竿にまとわりつかせて、頬をへこませる。バキューム、きもちいいといいんだけれど。

 「…んむ、む、む」

 不思議と自分の手と口で育つそれがやらしくて愛しくて、片時も唇から離したくなくなる。ちんこかわいい。好きだ。衝動のまま、片手で自分のベルトを引き抜く。これを食わないでられるか。

 「ちょっ、な、にして、」
 「んふ、ん、んん…」

 人間の本能はすごい。こんだけ泥酔してても入れるとこは分かるんだから。名残惜しんで音をたてて離した。財布に忍ばせたゴムとローション取り出して、歯で開ける。お口で着けようとしたら途中で止まっちゃって、もういいやナマで。勢いのまま、跨がる。気合いをいれ腰を下ろすも、穴には当たるが先端すら入りそうにない。処女尻は思いの外堅牢だった。

 「はいんない…」
 「そりゃそうですよ…下りてください。」
 「いやだ…いれたい…」
 「いやだって言われても…」

 沈黙が流れる。しばらく視線をさ迷わせていたそいつは、恐る恐ると声を出した。俺はずっとそいつの目の色に名前をつける遊びをしていた。

 「後ろ、向いてください。やるだけ、やってみます。」
 「…ふぁ?ん、んっ、!?」

 そいつに背を向けると、俺の尻に顔が埋められる。他ならぬそいつの顔だ。うそだろ、そんな、尻が吸われちゃ、う。うそ。

 「あっあっあっあ!なに、なにしてんのっ、あ、吸うな、あっ、あっ、え、え?えぅっ!」
 「らって、いれたいんれすよね、せめて、ゆびかしたくらい、はいんないろ、」

 中の粘膜が吸われて、粘液がにゅるにゅる動いて、初めて触れる粘膜に当たる舌に唇に唾液に、脳がとけてとろけて、へんになる感じだった。

 「っは、あ、なか、ゆるんで潤んできた…」
 「や、やぁあ"〜、や、ひろげ、な、はぅっ」

 顔を外したそいつに尻たぶを左右に開かれ、尻穴を引っ張られる。どうしてそんなことに股間熱くして汁垂らしてんだろ、俺。うっとり目を閉じると、自分のきもい声がやけに耳に触る。
 うっすら涙のかかった目を開け、後ろを見るとそいつの軽く上下にピクつくちんこが見えた。きゅっとしたと同時に怖いような気もする。でも

 「はぁっはっ、んん、ん…オレの尻舐めて、んん、ちんぽひくひくさせてんの、かわい、はぅ、は、んん、はやく、尻でしごきたい、はやくっ、ちょーだい、んやぁっ、あっ、きて、来いよぉっ」

 怖くて、苦しくて、なんか気持ち悪くて、かわいくて、いろいろ混ざった生々しさだった。ちっちぇ頃見たすぴー×ーズの宇宙人みてぇ。セックスって気持ち悪い。でも、気持ち良い。不思議。セックスなんて沢山したのに、初めてセックスする宇宙人と同じこと考えるなんてな。

 「ん、指、いれても……?」
 「ん、ん。なんでも、なんでも、いい、んはぁっ!はやく、セックス、っうぁ」

 ぬぷり、さんざ舐められたとこに指が入る。たった一本なのに、そこは大した反発を見せる。うそ、指だけでこんな腹いっぱいかよ、指が入ってる、頭とける。そいつは真剣な顔して中を探ってて、俺は情けない顔で指を追った。手まんしてる、えろい、えろい…。

 「んんん……?」
 「ここ?」
 「わかんな、あっだめ、押したら、あっそれ、あっ!出そう、しょんべんでそう、あっやだ、それやだっあっあ!」

 指が第二間接で曲がって、腹側の肉を押す。なんか膀胱を押してる?これ?しょんべんでそう、でもなんかじんと集まるような気持ちい感じがする。やだ、ここ、だめだ。頭真っ白で上手く出来ない。何も出来ない。あ、だめ、苦しい、これ、あっ!

 「気持ち良い、ですか…?」
 「んんっ、んはぁっ、んぅ、ん、へん、へんなんだよぉ、じんじんする、そこ、あっ!んんっ、んう、あっあっ押したらっ、あっ!やばっ」
 「(八の字眉になってる…)だめですか?」
 「わかっな、わかんな、やだ、こわい、やだぁっ、あっ!んんっ!んっ!!?」

 こわい、と思ったら、仰向けにされて、ちゅう、された。口もぐもぐされて、気持ち悪いがどっかいく。……はぁ、ちょーしあわせ。簡単に、とろんと、目がハートになる。

 「んぅっんんん、んふぅ、んん〜ーっ、んんっんっ、んんぁ、ん」

 ちゅうされながらくちゅくちゅと中を弄られて(くそえろ。弄りやすいよう右足を上げる俺)、次第にずくんずくんと体があつくなる。きもち、気持ち良い、そこくちゅくちゅされると、俺のちんこもひくひくする。ちんこの気持ち良いの根本みたいだ。気付いたら中の指二本になって、中指が今くちゅくちゅされてるとこのちょっと奥を押す。

 「んあぁっ!んん、んふ、んんぅ、んっんっ、もっと、もっろぉ、」

 そしたらもっと熱いのが来て、すげ、尻熱い。なんだこれなんだこれ、あ、すご、響く。ケツに響く。響くたんびに、甘いのが広がって、い、イきそ、イきたい。音響く。くちゅくちゅ、ぴちゃぴちゃ、あ、手まんしてるのと反対の手で耳塞がれた、キス音、反響する。ドッドッって、俺の血管の音、尋常じゃなく早い。

 口離されて、下唇もぐもぐされても、もう、射精のことしか考えられなくなった。

 「んはっ、あっ、あ、も、無理イきたい、一緒イって、来て」
 「ぷは、流石に、まだ入りませんって、だから」

 まだ指二本でキツキツなそこ。おねだり虚しく、そいつはくちゅくちゅしたまま、俺のちんこに自分のを重ねてきた。そいつの、ちんこ、当たっ

 「んはっ、あぁっ!あっや!あっあっあっちんこ、ちんこ当たっ」

 重なってるとこが、凹凸が、妙にリアルで、ちんこ、ぴくぴくしてる。や、えろ、脈打つのが、あたる。一瞬も、我慢の余地なく、抜ける。尿道を熱いのが、何度も。で、出口で弾ける。あ、トぶ。太股ひきつる、電撃。

 「んあぁああ〜っ!やっ!あっまだ出るっ!あっ!あっ!」






 ホテルで先に起きたのは俺だった。どういうことか分かんなかった。あ、え、あの電車で会うあいつと、一緒のベッドで、はだか、はだか、ついでに、うでまくら……???
 とにかくやらかしたというのは、直感で分かった(女相手ならままある)。ベッドサイドに多目に積んで、こっそり部屋を出た。眼鏡外した顔が思ったより若くてかわいくて、折角だから写真撮っとけばよかった。

 そんで、それからは乗る電車の号車変えて、忘れるように勤めた。たぶん、そうとうあいつにひどいことしたろうし。そんな感じで一週間経ったら、最寄り駅ホームであいつに捕まった。やっぱりかわいい目だった。


おわり


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