狂気



「いや、やあっ、止めてぇ!」
悲鳴が部屋に響き渡る。
信じていた従兄が欲望剥き出しで、自分を見つめてくる。
嫌がる自分は両腕を縛られ着衣は乱されて肌は露出し、下穿きは脱がされていた。
そんな自分の姿が恥ずかしくて顔を真っ赤に染めて、涙を流した。
「お願い、惇兄…止めて、こんな事、嫌だよ」
「お前がいけないんだ。俺以外の男に想いを寄せるのが悪い…」
夏侯惇は悔しそうに呟くと荒々しく高ぶる陰茎を秘部に挿入した。
「やあああっ!」
慣らしていない為か入口は傷つき血が溢れ寝台に血が滴り落ち染みをつくる。
「止め、抜いて、痛い、痛いぃ!」
夏侯淵の悲鳴と制止の声を無視して夏侯惇は腰を乱暴に動かす。
流れる血で滑りやすくなり奥まで陰茎を挿入する。
「妙才、愛しているんだ…俺だけを見てくれ」
字を呼ばれると夏侯淵の身体がピクリと震える。
「惇兄…ごめん、ごめんな…」
自分の行為が夏侯惇を傷つけた事を知った。
「もう、惇兄の側から離れないから…」
夏侯惇の為に愛しい人を思うのを止めよう。
こんなの間違っているから。
狂った夏侯惇を元に戻せるなら自分を犠牲にするしかない。
(許して…関羽、俺は…)
二度と会えないかも知れない彼を想い涙を流す。
「惇兄…好き、愛してるから」
「妙才…俺も愛している」
夏侯惇はやっと手に入れた愛しい人を飽きる事なく抱き続けた。
「ああ、あっ、惇兄、いい、もっとぉ!」
痛みが消えた夏侯淵の身体は快楽しか感じなかった。
淫らになり乱れていく夏侯淵の姿に満足した。
「もっとか、淫乱だな妙才。もっと俺を感じればいい…」
夏侯惇は更に行為を続けていく。
夏侯淵は何度も絶頂を迎え、熱を吐き出していった。
幾度目かの絶頂で夏侯淵は寝台にぐったりと横たわる。
意識は闇に堕ちていった。
やっと熱が引いて夏侯惇は自分がした行為に後悔した。
夏侯淵を見ると涙に濡れた顔に、白濁と血と汗で塗れた身体。
それでも夏侯惇は夏侯淵を抱けた事を喜んでいる自分がいる。
それが狂気が含まれていてもだ。
「これで妙才は俺のものだ…」
夏侯惇は意識のない身体を抱きしめる。
狂っているのは解っているだけど誰にも渡したくはなかった。
だから無理矢理にでも彼の身体を貪った。
でも、これで妙才は俺のものだ。
夏侯惇は狂った笑みを浮かべ、夏侯淵に口づけを落としていった。





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