やきもち



可愛い従弟。
最近は更に可愛さが増したように見えてくる。
夏侯惇は常日頃から夏侯淵を見ている。
自分がやらねばならぬ仕事は全て終わらせるのは夏侯淵の側に居たいが為。
でも今日に限って、夏侯淵は部下達の鍛練に付き添っていた為か側にいる事が出来ない。
俺以外の男に笑顔を振りまく夏侯淵に対して夏侯惇にはあまり良くない状況であった。
だから夏侯惇は思いついた。
誰にも触れさせないように仕向けるしかないと。
夏侯淵は自分のものだと自覚させるには手っ取り早い方法だった。
鍛練を終わらた夏侯淵達に近づく夏侯惇。
「淵、鍛練は終わったのか?」
「あっ、惇兄…惇兄も鍛練か?」
夏侯淵は夏侯惇に気づくと話かけてくる。
「いや、お前に用があってな」
「俺に?」
「今日は執務が滞っている孟徳に付き添う事になるから夜になったら俺の部屋に来てほしい」
「ああ、わかったよ…夜だったらゆっくり話もできるしな」
「久しぶりに酒でも飲み交わそうではないか」
「いいな、惇兄と一緒に飲むの久しぶりだしな」
夏侯惇は夏侯淵の了承を得ると鍛練場を後にした。
孟徳の執務が滞っていたのは本当な事で、数人の文官から苦情が出ていた。
曹操の頼みで付き添う形で付き合い事になる。
手伝いたいが、大半が曹操が目を通さなくてはならない書簡ばかり。
自分のやるべき執務は既に終わっていた。
曹操のわがままに付き合いのはこれで何度目かわからない。
思わず溜息が口から零れる。
曹操の執務室に来ると扉を軽くノックをした。
「孟徳…俺だ」
「入れ」
短い返事が扉越しから聞こえた。
夏侯惇は扉を開けると曹操の側に歩み寄る。
「待っていたぞ元讓…」
「全く、こんなに貯めこんで今まで何をしてたんだ?」
執台の上に山となった書簡の束が目に映る。
「いや、その、儂は普通に執務はやっていたら先日、司馬懿の奴が嫌味のように大量の仕事を持ってきたのだが、流石に一人では無理だ」
「まあ、見ればわかるが…」
「協力してはくれぬか元讓…?」
曹操は夏侯惇に問い掛けてくる。
「返事を断ったら執務を放棄するのが見え見えだな…」
夏侯惇は溜息しか出ない。
「まあ、執務を放棄したら司馬懿に更にガミガミと言われるぞ」
「それは嫌だ…」
あの司馬懿が執務を放棄したと知ったらただではすまないだろう。
「解った、今回は手伝ってやる」
「ああ、頼りにしている。儂の元讓…」
「止めろ、その言い方は気持ち悪いぞ」
夏侯惇は近寄る曹操を手の平で押し返す。
「仕事始めるぞ、早く終わらせたいからな」
「うむ…」
曹操と夏侯惇は書簡を手に取ると執務に集中していった。



それから数刻が過ぎ昼近くで執務が終わった。
「済まなかったな元讓。お主がいなかったら丸一日中、執務している処だった」
「まあ、予想していたよりは早く終わったから良しとしよう」
首を回すとゴキゴキと音がした。
「流石に肩が凝るな…とりあえず俺は食事をしにいくぞ」
「ああ、ゆっくり寛げ…」
曹操はそれだけを言うと私室へと戻っていった。
夏侯惇も休憩がてらに一度自分の部屋に戻る。
部屋に戻ると寝台に横たわる。
「疲れた…」
流石に長時間も執務をしていたら疲れるだろう。
そう言えば酒を用意しなくてはならない。
今宵は夏侯淵と酒を飲み交わすと約束をしたのだ。
食事をしたら街に買い出しに行かなくてはならない。
こうしてはいられないと夏侯惇は起き上がると足早に部屋を出ていく。
可愛い従弟が楽しみにしていると思うと夏侯惇は嬉しさを隠しきれない。
はたから見ればニヤついた顔をしているのだから。
「夏侯惇将軍、一緒に食事なんていかがですか?」
背後から突然声がかけられて振り返るとそこには張遼と張コウがいた。
「どうした二人揃って珍しいな?」
「いえ、先程出くわしたのですが夏侯惇将軍も食事がまだでしたら私達とご一緒にしませんか?」
張コウが夏侯惇に尋ねる。
「まあ、腹は空いてはいるが」
「なら決まりですな…」
張遼は夏侯惇の腕を掴むと張コウと共に外で食事をする事になった。
外食は久しぶりだったので気晴らしには向いていた。
「此処は穴場で美味しいと評判の店ですよ」
「ほう、こんな処に店があったなんて知らなかった」
夏侯惇は店内を見回すと活気に溢れていた。
三人は空いている円卓を見つけるとそれぞれ腰掛けた。
「とりあえず飯でも食べるか…」
三人は好みの物を注文する。
「そう言えば、張遼、お前は酒には詳しいか?」
「酒ですか?まあ、嗜みには飲みますが詳しくはありませぬ」
「何故、そのような事を?」
「いや、酒を飲みたくなったが普段飲んでいるものでは物足りなく感じてきてな。美味い酒が欲しくなった」
流石にこの二人に淵と一緒に飲むと知れば目の色を変えてくるだろう。
「なら、果実酒なんてどうですか?異国の酒ですが取り扱う店を知ってますよ」
張コウが夏侯惇に言うと反応が直ぐさまに返ってくる。
「後でその店の場所を教えて欲しい…」
「ええ、わかりました。でもその前に腹ごしらえをしましょうね」
張コウが言い終わると店員が料理を提供した。
「ほう、これは旨そうだな…」
夏侯惇は円卓に並ぶ料理を見て呟く。
美味しそうな匂いが鼻孔をくすぐる。
三人は会話をしながら食事を済ませた。
店を出た夏侯惇は張コウが言う店の案内を頼んだ。
「ついでに私もついていきますよ」
張遼はにこやかに微笑むと三人は街中を歩いていく。
暫くすると目的の店に到着する。
「此処が例の店です」
「思っていた以上の品揃えだな」
「見慣れた物から珍しい物までたたありますな」
確かに棚を見れば自分がよく口にするものまである。
夏侯惇は張コウが言う果実酒が並ぶ棚を見つけるとどれが良いか悩む。
数が多い中で葡萄酒に目に入る。
それ以外に薄い琥珀色をした酒も目に映る。
さてどうしたものか。
夏侯淵は酒には強い。
強めの酒を選ぶのが好ましいだろう。
自分も酒には強い自信がある。
「夏侯惇将軍、決まりましたか?」
「ああ、これにしようかと思う…」
夏侯惇は目についた酒を棚から取り出す。
「それは野苺を使った果実酒です。酒は強めですが、普段飲んでいる酒より甘いかもしれませんね」
「甘いのは嫌だな」
「ならこちらはどうですか山葡萄の酒ですが風味と味わいは別格ですよ」
張コウが別の棚から一本の酒瓶を取り出す。
「なら、張コウのお奨めを貰おう…」
夏侯惇は張コウから酒瓶を受け取ると即座に購入した。
「すまんな二人とも、付き合わせたな」
「いえ、気晴らしとは言え外を出歩くのは良いものです」
張遼も店で新しい酒を購入したようであった。
「また今度、ご一緒に食事でもしましょう…」
「ああ…」
三人はそれぞれの屋敷へと戻っていった。
それからと言うもの夜になるのには時間の流れが早く感じるものである。
夏侯惇の部屋に夏侯淵が訪れる。
「惇兄…来たよ〜」
「おお、よく来たな。待ってたぞ」
夏侯惇はにこやかに微笑むと夏侯淵を出迎えた。
「実は昼間、張コウから教えて貰った店で珍しい酒が手に入った。飲むか?」
「本当か、飲むよ!」
夏侯惇の話を聞いた夏侯淵は嬉しそうに笑う。
夏侯惇は円卓に用意した酒瓶を掴むと栓を抜くと器に注ぐ。
「ほら、お前の分だ」
「ありがとう惇兄…」
軽く礼を言うと器を受け取る。
綺麗な色をした酒の匂い。
それだけで旨そうであった。
珍しい酒なのでちびちびと飲んだ。
「どうした、一気に飲まないのか?」
「珍しい酒だからもったいないからゆっくりと味わいたいよ」
「確かにな、でも俺は一気に飲んでいる淵が好きだな…」
「そうかな?」
「ああ…」
夏侯惇は遠慮なく自分の器に入った酒を一気に飲んだ。
「やはり美味いな…お前も飲んでみろ」
夏侯惇は空になっていた器に酒を注ぎ込むと夏侯淵を煽るように奨める。
「お言葉に甘えるぜ…」
夏侯淵は一気に酒を飲んだ。
喉の奥が熱く感じる。
「やっぱりうめえな〜」
美味い酒を飲めて夏侯淵は御機嫌であった。
「惇兄、昼間は張コウと一緒だったのか?」
突然、夏侯淵は夏侯惇に問い掛ける。
「いや、張遼も一緒にいた。ちょうど三人で食事をしてたから」
「何だよ、俺も誘ってくれたら良いのに…」
「済まなかった。ちょうど昼時だったし二人に強引に誘われたようなものだ」
夏侯惇はすまなそうに呟く。
「惇兄は俺のなのに、ずるい〜」
夏侯淵の口からとんでもない言葉を聞いたのは聞き違いか?
「淵、何を言って…」
「だって、ずっと一緒に居たいのに殿や張遼や張コウが邪魔をする」
「淵、お前…妬いているのか?」
「悪いかよ…」
ボソリと呟く夏侯淵に夏侯惇は面食らった衝撃を受ける。
全く天然で可愛い従弟がこんな姿を晒すとはやはり酒の力と言うのは恐ろしいものだ。
「惇兄は誰か何と言おうとも俺のだからなっ!」
夏侯惇に抱き着いてくる夏侯淵を抱きしめる。
「可愛い奴だ。俺も淵が誰かのものになるのは嫌だな…」
夏侯惇は甘えてくる夏侯淵の髪を優しく梳いた。
「ねえ、惇兄…」
「何だ?」
「俺を、抱いてよ」
「全く、何処でそんな誘い方を覚えたんだ…」
夏侯惇はクスっと笑う。
「やっぱり俺じゃ、魅力もないよな。男だし、ふくよかで女みたいに柔らかくないし」
悲しげに呟く夏侯淵は上目使いで夏侯惇を見つめる。
可愛い仕種をして無意識に誘う姿に夏侯惇はゴクリと喉を鳴らした。
「お前が望むままに…」
夏侯惇は夏侯淵をゆっくりと寝台に押し倒した。
夏侯惇は夏侯淵を見つめる。
「本当に良いのか、無理をしているのであれば止めるなら今の内だぞ?」
夏侯淵を気遣う夏侯惇の優しい言葉に夏侯淵は胸が熱くなる。
「酒の勢いでこんな恥ずかし事を言っているんじゃない。惇兄は俺が嫌いか?」
「嫌いな訳があるか。こんなにも愛しいのに」
優しく頬を撫でて髪を梳いていく。
「なら、俺に証を見せて。愛しているなら…」
尚更刻み付けて欲しい。
忘れられないように。
夏侯淵は夏侯惇の首に腕を回し引き寄せる。
「淵、愛している…」
「俺も惇兄が好き…」
二人はゆっくりと唇を重ねた。
唇に舌を挿入した。逃げない舌を絡め取って、吸い付ける。
「ふっ、んっ、んぅ…」
鼻から抜けたような声が漏れてくる。
何度も舌を絡めていけば夏侯淵の身体から力が抜けていく。
やっと唇を離すと夏侯淵は寝台にぐったりとする。
「あっ…惇兄っ」
「今更止めろと言われても止めぬぞ?」
「違う、恥ずかしだけだよ…」
「そうか…」
顔を真っ赤に染めている夏侯淵を見て夏侯惇は優しい微笑みを浮かべた。
夏侯惇は夏侯淵の着衣を開けていく。
そして露出した肌に唇を落として肌に軽く歯を立て、強く吸っていく。
吸われた肌は赤く染まる。
夏侯惇はいくつもの赤い華を散らしていく。
「んぁ…はっ、ああん」
舌で胸を軽く舐めると小さな頂きが赤く染まり、硬くなっている。
夏侯惇は胸の頂きを口に含み舐めて何度も強く吸う。
「ひやああ、ああっ、やんっ!」
夏侯惇は硬くなりつつあるもう一つの頂きも同じように口に含み舐め、何度も吸う。
「や、やぁっ、そんなに、吸わない、で…」
夏侯淵はいやいやと首を左右に振り、生理的な涙を流す。
「ふふ、相変わらず此処が弱いな…」
コリコリとした頂きを舐める。
「あっ、はぁ…やっあん!」
「此処をこんなにしていやらしいな。まるで女の胸のようだ…」
「そんな、違う…やぁっ!」
熟れた胸の頂きは赤く腫れ上がり、唾液で濡れている。
それだけで夏侯惇の欲情が高ぶる。
夏侯惇は指先を下穿きに触れようと伸ばしていく。
伸ばされた指先は下穿きの上からゆっくりと撫でていく。
「やああっ、駄目っ、ああんっ!」
「ふふ…此処を硬くしてもう下穿きが濡らしているぞ。待ちきれなかったか?」
夏侯惇はわざと耳元で囁き、夏侯淵の様子を伺う。
「やぁ、意地悪、しないで…お願い、惇兄…触ってよ」
「意地悪とは酷いな、触るのは此処か?」
下穿きの上から下から撫でるように指先を何度も動かす。
「ふぁあ、やん、惇兄ぃっ」
「何だ?」
「お願、っ、直にぃ、っああ!」
夏侯淵は喘ぎながら夏侯惇に懇願する。
「くくっ、直に触れればいいんだな?」
夏侯惇は夏侯淵の下穿きを解くと下穿きの下で高ぶっていた陰茎が露になり頭を上げてその存在を主張していた。
夏侯惇は先走りで濡れた陰茎を掴むとゆっくりと扱き始める。
「ああっ、ふぁっ、はぁ、いいっ!」
待ちわびた快感が夏侯淵の身体を支配する。
クチュクチュと濡れた水音が部屋に響いていく。
「あっ、ああ、あんっ、惇兄…」
夏侯惇は陰茎を扱きながら、更に下にある蕾へと指を伸ばしていく。
そして、先走りの体液で濡れていた蕾の入口を軽くノックするようにするとグチュリと指が中へと飲み込んでいた。
「あっ、はぁっ!」
指が挿入すると夏侯淵の身体が無意識に反り返る。
そして腰を揺らし押し付けている。
すんなり指が入る蕾にさらに指を増やして挿入する。
「くああっ、やっ、ああんっ!」
夏侯惇は中に入れた指をバラバラに動かし更に拡げるようにする。
夏侯惇の身体に必死にしがみつき、快感に耐えようと背中に爪を立てる。
「いっ…」
夏侯惇は背中に走る痛みに声を漏らすが気にせずに行為を続ける。
「ふふ、良い声だな。もっと聞かせろ…」夏侯惇の指がしこりのある部分を掠める。
「ひやああっ!」
先程とは違う一層増した艶やかな声に夏侯惇はニヤリと笑う。
「見つけたぞ…」
夏侯惇は夏侯淵が一番感じる部分を見つけると集中的にその部分だけを責めていく。
「ああっ、やっ、そこは、ああっ、やらぁ!」
呂律が回らなくなり、夏侯淵は嬌声を上げていく。
自分が酷く淫らに乱れていくのが酷く怖くなる。
だけどもっと快楽が欲しいと望んでいる自分もいる事に夏侯淵は気付いた。
「と、惇兄…」
「どうした淵?」
「も、欲しい。惇兄の、欲しいの…」
荒々しい呼吸をして夏侯惇を見つめて呟く。
涙に濡れた瞳が自分を見ているだけで夏侯惇の理性は簡単に吹っ飛んでしまう。
「淵、俺も我慢の限界だ。力を抜いていろ…」
夏侯惇は夏侯淵に優しく口付けを軽く落とし、夏侯淵の脚を掴むと自分の肩に脚を乗せる。
そして外気に触れた蕾に高ぶった己の陰茎を宛がう。
「は、早くぅ…」
急かすような甘い声を挙げる夏侯淵を見つめ夏侯惇はゆっくりと腰を進めた。
「ああああっ!!」
グチュっと卑猥な音とともに夏侯惇の陰茎は夏侯淵の中に侵入を果たした。
「くぅ…淵、力を抜け…」
ぎちぎちと締め付けてくる秘肉に夏侯惇は眉根を止せる。
やっと欲しかった熱を放したくないと締め付けるかのようだ。
夏侯惇は夏侯淵に啄むような口付けを何度も落とすと安心したのか夏侯淵の身体から力が抜けていくのが解った。
夏侯惇はその隙を見逃す事はなく一気に腰を進め最奥まで穿つ。
「あっ、あぐっ、ん!」
「大丈夫か淵?」
夏侯惇は夏侯淵を心配するかのように呟く。
「ん…大丈夫だ、惇兄」
きつく閉ざされた瞼がゆっくりと開かれ涙に濡れた瞳が夏侯惇を見つめた。
夏侯惇は夏侯淵の頬を優しく撫でる。
「動くぞ、そのまま力を抜いていろ…」
「うん…」
夏侯淵は短めに返事を返した。
夏侯惇は夏侯淵の腰を掴むと律動を開始した。
陰茎が抜かれるぎりぎりの所で一気に腰を進める。
「あっ、ああっ、やっ、ああんっ!」
夏侯惇は激しく何度も腰を打ち続けていく。
夏侯淵は揺さぶられながらも淫らな声を挙げて夏侯惇に必死に抱き着き両脚を絡み付いてくる。
「淵、淵、愛している…」
「ああ、俺も、惇兄が好きだっ!」
蕩けるような熱に浮かされながらも互いの熱を確かめあい、二人は行為に没頭する。
与えられる快感は甘美であまりにも気持ちが良い。
このまま一つに溶けてしまいたいと思う程に。
「ああっ、惇兄、いい、もっ、もっと…ぉ」
「もっとか、妙才…?」
字を言われ夏侯淵の身体がびくりと震える。
「ひや、ああんっ!」
自分の背中に異様な快感が走る。
「どうした妙才…?」
字を囁く夏侯惇に夏侯淵は乱れていく。
(字を言われただけなのに、変だ…身体がおかしくなりそう)
「ああ、やっ、惇兄っ…」
「元譲と呼べ…」
強制するかのような言葉に夏侯淵には従うしか選択肢はない。
「ああ、はっ、元譲、元譲っ!」
「妙才、愛している…」
「ひっ、やあああっ!」
二人は互いの字を呼び合いながら絶頂を迎えたのであった。



それから暫く寝台に横たわる二人。
抱き合う形で見つめていた。
「惇兄、ごめん…俺、とんでもない事を…」
酒が入っていたとはいえ、自分から誘ってしまうなんて自分らしくもない。
それを嫌がる処か、逆に喜ばれているのは気のせいか?
「俺は大胆な妙才の姿が見れて満足はしたけどな…」
「惇兄の馬鹿っ、もう知らないっ!」
夏侯淵は恥ずかしくて反対側に身体を寝返りをする。
そんな夏侯淵の姿が可愛いもので、どうしても手放す事も出来ない。
「機嫌を悪くしたのならすまなかったな…」夏侯惇は夏侯淵を抱き寄せる。
たくましい腕に包まれて夏侯淵は更に顔を真っ赤に染める。
「俺が誘うのも、こんな事をするのも元譲だけだから…」
小さな声で囁く夏侯淵に夏侯惇は嬉しそうに微笑んだのであった。





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