泪雨



関羽との荊州争奪戦は、連日の悪天豪雨によって樊城を水攻めにされ、援軍の于禁ら七軍も壊滅した。
この打開策はないか曹仁は悩んでいた。
自分はこのまま敵に降る訳にもいかない。
いずれにしろこの大雨の中ではどちらも身動きが取れない。
仲間の援軍が来るまで耐え忍しかないのであろうか。
曹仁はふと部屋の中から外を見る。
外は相変わらずの豪雨で雷も頻繁に轟き雷鳴が光る。
一人部屋で佇んでいたら扉が数回叩かれる音がした。
曹仁はゆっくりと扉を開くとホウ徳が立っていた。
「少し、よろしいか曹仁殿…」
「ホウ徳殿、立ち話も此処ではなく部屋へどうぞ…」
曹仁はホウ徳を部屋へと招き入れた。
曹仁に招かれたホウ徳は部屋へと入っていく。
「して、何用か?」
「曹仁殿、今回の戦、我等では部が悪い。なんとしても関羽を荊州から退けたいにしても兵力は残り僅か。それでも某は貴殿を守りたいのだ…」
「ホウ徳殿…」
「どんな事があろうともそなただけでも生きて帰って欲しい…」
ホウ徳は曹仁を抱きしめ。
「某は貴殿を愛してます…」
「なっ、ホウ徳殿。戯れな事を」
「戯れではない。某は貴殿を好いてました。ずっと…だから今宵は某のものになって欲しい。いつ死ぬか解らぬ身だから」
「ホウ徳殿…」
触れてくる温もりが相手が生きていると感じた。
「愛しております。曹仁殿…」
「ホウ徳殿…」
ホウ徳は曹仁を抱きしめるとゆっくりと口づけを落とす。
突然触れられた唇に曹仁は受け入れる。
「んっ、んん…」
触れた唇が離れるとホウ徳は曹仁の鎧を脱がしていく。
「駄目っ、んんっ…や。ホウ徳殿」
曹仁の鎧を脱がし、いつの間にか一糸纏わぬ姿にされた。
曹仁は恥ずかしくて顔を赤く染めた。
「なんて、綺麗なんだ…」
曹仁の白い身体を見たホウ徳はごくりと喉を鳴らした。
「あっ、あまり見ないで下され…」
両腕で身体を隠すようにし、身じろぎながら曹仁はホウ徳を見る。
「曹仁殿、拙者を受け入れて欲しい…」
ホウ徳は曹仁を抱えると寝台に押し倒した。
「あっ…」
ホウ徳は曹仁の上に覆い被さると再び口づけを落とす。
「んっ…んんっ…んうっ…」
ホウ徳の舌が曹仁の咥内に侵入し絡みつく。
舌先で歯列を舐め舌の根本まで差し入れ強く吸う。
与えられる感触に曹仁は翻弄される。
ゆっくりと唇が離れると唇は下へと降る。
首筋や鎖骨を舐められ時折吸われる。
「はぁ…あっ、んっ」
白い肌にいくつも紅い華を散らされていく。
胸の頂きを口に含まれると強く吸われ、舌で舐め回される。
敏感な場所なだけにホウ徳から受ける愛撫は曹仁に快楽を与える。
「あっ、はぁっ、あんっ!」
「曹仁殿、感じておられますな…」
「はっ、言う、なっ…」
曹仁は快楽から逃げようと首を左右に振る。
ホウ徳の巧みな愛撫は曹仁の理性を簡単に消していった。
「もっと感じてくれ…」
ホウ徳は曹仁の陰茎を掴むと扱いていく。
「くっ…んう、ふっ、やあっ、んん!」
ホウ徳は舌で陰茎をペロペロと舐めカリの部分を強く吸った。
そして先端の尿道口に爪を立てる。
「ひやああっ!」
曹仁は快感と痛みに耐えられず吐精してしまう。
曹仁の精液をホウ徳は丁寧に舐めて飲み込んでいく。
「んん…」
「曹仁殿…」
「もう、止め…て」
ホウ徳は曹仁に口づける。
「うん…、んっ、うんんっ…はっ」
口づけを続けながらホウ徳は曹仁の陰茎を扱く。
そして更に奥にある蕾に指先を挿入する。
「んんっ!」
グチュンと指先を飲み込んだ蕾を丁寧に傷つけないように弄っていく。
グチュグチュと指を掻き回して中を拡げて慣らしていく。
秘肉の中を掻き回す指先の感覚が気持ち悪くて嫌悪感を感じた。
ホウ徳が唇を離しても指が動き続ける。
ホウ徳の指が前立腺のしこりを掠めると曹仁から嬌声が挙がった。
「ひや、あああっ!」
「曹仁殿、此処が弱いのですか?」
ホウ徳は更に指を動かししこりの部分を指の腹で強く擦りつける。
「止め、んああっ!」
曹仁は強い刺激に耐えられず二度目の吐精をしてしまう。
曹仁はびくびくと痙攣を繰り返し絶頂の余韻に浸る。
「とても可愛いですぞ、曹仁殿…」
「はぁ、はっ…やっ」
「こんなに可愛らしい貴方を見れるならもっと早く貴方を抱くべきであった…」
「もう、いいだろ。私はもう…」
「何を言う。最後まで付き合ってもらう…」
「ホウ徳殿、止めっ!」
「こんなにも快楽に弱い身体なのに何を言う。そんなに潤んだ瞳をして、まるで誘っているようだ」
「くっ…誘ってなんかいない」
曹仁はホウ徳から視線を反らす。
ホウ徳はそれさえも許さないかのように行為を続ける。
曹仁の両脚を左右に拡げると曹仁の陰茎から精液を漏らし、蕾は男を誘うかのようにひくついている。
「こんな状態では辛かろ。抜いて挙げますよ…」
「嫌だ、あっ、やあっ!」
「力を抜かないと辛いぞ…」
ホウ徳は曹仁の蕾に陰茎を宛てた。
そして一気に腰を進める。
「やっ、ああっ!!」
曹仁の中にホウ徳の陰茎が最奥まで挿入される。
「はぁ…なんて柔らかく、心地好いんだ…」
「お、お願い、抜い、てっ…」
曹仁は涙を流し、ホウ徳に訴えるがホウ徳は聞く耳を持たない。
そしてホウ徳は曹仁の脚を抱えながら律動を始めた。
「ひっ、うんん、あっ、ああっ、痛いっ、やっ!」
ホウ徳の陰茎が出入りする度にグチュグチュと卑猥な音が部屋に響く。
深く、えぐるように強く突き上げていく。
「ああっ、やっ、あひぃっ!」
「もっと感じて下され曹仁殿…」
気持ち良すぎる締め付けにホウ徳は夢中に腰を打ち続ける。
曹仁は理性を失い、快楽に酔いしれてしまう。
「あっ、あっ、もっと、もっと下されっ、いいっ、いいのっ!」
曹仁はホウ徳にしがみつき、快感に酔った。
曹仁の淫らに乱れる姿に満足したホウ徳は絶頂に向けて更に腰を打ち付ける。
「ひあ、もう、やっ、イくっ…」
「はぁ、共に…」
二人は更に行為に勤しむ。
そしてホウ徳が強く腰を打ち付けると曹仁は耐えられず絶頂を向かえた。
「あああっ―――!」
「くっ…!」
絶頂を迎えた二人は口づけを交わした。
行為が終わった二人は寝台に向き合ったまま横たわる。
「曹仁殿、すまなかった…」
「何故、謝るのです?」
「どんな理由にしろ。貴殿を泣かせてしまった。愛しくて仕方なかったのだ…」
ホウ徳は曹仁の頬を撫でた。
「いいえ、謝るのは私の方だ。貴方の優しさに甘えた。私に好意を寄せる貴方を利用したのだ。こんな状況を投げ出して逃げたい自分をごまかす為に私は…」
「もう、何も言わなくていいんです…拙者はそれでも嬉しかった。どんな理由であれ貴殿を抱けた事に幸せだ」
「ホウ徳殿…」
「曹仁殿、拙者は貴殿を愛している」
ホウ徳は曹仁を抱きしめる。
「今、暫くはこうしてよいか?温もりを感じていたいのだ…」
「曹仁殿…構わぬよ。ずっとこうしていたい気分だ」
曹仁の気持ちを知っているからこそホウ徳は敢えて従った。
この雨が止めば、また戦をする事になる。
ならば暫しの間でも忘れられたらどんなによいか。
ホウ徳はゆっくりと曹仁に口づけを落としたのであった。





prev next

 

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -