約束



触れた部分から伝わる熱は酷く混乱させる。
予想もしていなかった。
慕うとはいえ、相手は従兄でありこの国の主。
逆らう事は出来ない。
呼び止められて部屋に入れば主は曹仁を寝台に押し倒していた。
「何をなさるか殿?」
「子孝…儂はなお主が欲しくて堪らぬのだよ。もうすぐ戦になる。子孝を戦場に送れば今暫くは遭えぬ…」
曹操は曹仁に囁き掛ける。
その音声は余りにも寂しげに耳元に響く。
「殿、いかがなされた。貴方らしくもない」
「儂も感傷に浸りたくもなる。子孝よ、一時で良い。儂に身を委ねよ…」
今にも崩れ落ちそうな表情に曹仁の胸が痛んだ。
「わかりました」
「すまぬ、子孝…」
「謝らないで下され。某は殿の為ならこの命を捧げた、今更ですぞ…」
「ああ、そうであったな」
曹操は曹仁にゆっくりと口づける。
お互いをわかっているからこそこの身を預ける事ができるのだから。
曹操は堪らずに曹仁に軽く口づけて着衣を脱がしていく。
「あっ…殿」
「儂に全てを委ねよ。悪いようにはせぬ」
曹仁の肌は陽に焼けてはおらず白磁のように白い。
曹操は曹仁の首筋や鎖骨に所有印を幾度となくつけていく。
「っ…はぁ、あっ…」
曹操は甘い吐息を漏らす曹仁に気をよくして胸へと唇を寄せていく。
触れる度に敏感に示す身体。
手放したくないという想いは募る。
それが従弟を犯していても止まらない。
曹操は曹仁の胸の頂きを口に含み舐めては吸っていく。
「ああ、はっ…んあっ」
「気持ち良いか子孝よ?」
「いい、あっ、んっ!」
曹仁は抵抗する事もなく曹操の愛撫を受けた。
「お願い、強くして、乱暴にしていいから、早く…」
早く下され…。
曹操の耳元で曹仁がまるで誘うように囁く。
「子孝っ!」
曹操は歯止めが効かなくなり曹仁の下穿き事、袴を脱がすと高ぶる陰茎を隠された蕾に宛てる。
「力を抜いておれ…」
曹操は曹仁の両足を抱えると一気に腰を進めた。
「ひっ、あああっ!」
慣らしていない蕾を肉棒が掻き分け侵入してくる。
メリメリと引き裂かれる痛みが曹仁を襲う。
やはり慣らしてなかったのか血の臭いが曹操の鼻に届く。
「すまぬ子孝…今抜いてやる」
「抜かないで下され。殿の熱を某に下され…お願いだ」
「無理をするな。儂はお主を傷つけたくない…」
「はぁ、某は殿のもの。必ず生きて戦場から帰ってきます。だから殿を忘れぬように刻みつけて下され…」
「子孝…すまぬ。お前の望むままに」
曹操は律動を始める。
鮮血のお陰で律動はスムーズになり曹仁の奥へと曹操の陰茎を深く招きいれる。
「あっ、ああ…はっ、殿っ、殿っ…」
「はぁ、はっ、子孝…」
二人は互いに求めあい快楽を貪る。
この温もりを手放したくなくて求めては縋り付く。
愛情と違う恋慕の相。
従兄弟だからとか関係ない。
ただ、いつも側にいてくれたからこそ求めたのだ。
「あっ、はっ、激しい。殿っ、好きですぞ」
「ああ、儂も子孝を愛している」
二人は口づけあい、そして同時に絶頂を迎えた。
絶頂の余韻に浸りながら曹操は曹仁の身体を抱きしめた。
明日からこの温もりを感じる事が出来なくなるのが悔しい。
だが戦には犠牲はつきもの。
どうなるかわからない。
「子孝よ。お主に命ずる。生きて儂の元へ帰れ…」
「殿…」
「帰ってこい。お主の居場所は儂の側しかないのだから」
「ええ…某は殿の側に必ず生きて戻ってきますから」
曹仁は曹操に笑顔を浮かべ囁く。
愛しいからこそ求めてしまう。
いつかその温もりが消える時まで手放すつもりはない。
「約束ぞ、子孝…」
「はい…」
そうして二人は約束を交わした。
次の日、曹仁は戦場におも向いた。
曹操との約束を果たす為に生きて勝利を掴み貴方の元へと帰ろうぞ。
全ては貴方の覇道の為に。





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