羽飛
※張飛フタナリ設定です。
関羽と張飛が義兄弟でありながら恋人なのは周囲に認知されていた。
だが、いつもと変わらぬ日常を過ごしていたかにみえた。
張飛は仕事が終わった後、いきつけの居酒屋で酒を飲んでいた。
一緒にいたのは趙雲と馬超であった。
三人は久しぶりに飲み合った。
「どうした馬超、趙雲。二人ともあんまり飲んでないな…」
「ああ…そういえば、張飛殿、少し太りましたか?」
「そうなのか。俺はそんな風にはみえないけどな」
趙雲の言葉に馬超がそうでもないと意見を言う。
「もしかして、幸せ太りだったりしてな」
「それは関羽殿との恋愛は順調だと言う事ですか?」
「ああ…だって俺、今幸せなんだ」
張飛は嬉しそうに笑う。
そんな張飛に趙雲と馬超は苦笑いした。
三人はたわいのない会話をしながら酒を飲んでいた。
だが、突然張飛の気分が悪くなった。
「何だか、気持ち悪い…」
「大丈夫ですか張飛殿?」
「飲み過ぎではないでしょうか?」
「かもな…今日はもう屋敷に戻る」
「じゃあ、屋敷までお連れします…」
「すまねえ、趙雲」
張飛は趙雲と一緒に屋敷に戻った。
二人は屋敷に戻る道をふらつきながら歩く。
やっとの事で張飛の屋敷に着くと星彩が出迎えた。
「父上…大丈夫ですか?」
「星彩、今戻ったぞ…」
「星彩殿、張飛殿は酒の飲み過ぎだと思います。ゆっくりと休ませてあげなさい…」
「はい…」
趙雲は星彩にそう言って屋敷を後にした。
張飛は星彩に連れられて屋敷に戻ったのであった。
次の日になり張飛はゆっくりと覚醒した。
昨日はあまり酒を飲んでいなかった為か二日酔いもなく何もなかった。
そしていつもの通りに屋敷で食事をしていたが何故かあまり食べ物が喉を通らない。
料理の匂いが鼻につくだけで吐き気がしてきた。
張飛は飲み水と軽い食事をして城に向かった。
(何だ、あの気持ち悪さは…あんなのは初めてだ)
張飛はそんな事を思いながら城に着き出仕した。
劉備と関羽達と会議をしたりと自分の仕事をこなしたりと今日は何かと忙しかった。
そして昼時になると関羽が張飛の元へと訪れる。
「翼徳、兄者と一緒に食事をしよう…」
「ああ…」
張飛は関羽と一緒に劉備の元に訪れる。
既に円卓の上には食事が用意されており三人は席についた。
三人は食事を始めた。
楽しい昼食の時を過ごせるとそれぞれ思った。
だが、張飛は朝食の時と同じ吐き気に襲われた。
「どうした翼徳?」
「兄者…なんか気持ち悪い。吐き気がして仕方ないんだ。食べ物の匂いを嗅いだだけで吐きそうだ」
「大丈夫か翼徳!」
関羽が張飛の側にいき、背中を摩る。
「駄目だ、吐きそうだ…」
張飛は床に倒れ込み吐いてしまう。
劉備と関羽は張飛を連れて医務室へと向かう。
そして急いで医師に張飛を診てもらう。
そして暫くして医師が張飛の診察を終え、劉備と関羽の元に向かう。
「おめでとうございます…張飛様はご懐妊されました、この様子だと腹の子は二ヶ月だと思われます」
「何だと…!?」
「翼徳が懐妊しただと言うのか?」
「まさか、拙者の子を孕んだと言うのか!」
関羽は張飛に近寄ると張飛の腹に触れる。
「…雲長、俺、雲長の子が腹の中にいるなんて信じられないんだ。これは夢なのかな?」
「医師が調べたのだ。この腹には拙者と翼徳の子がいるのだぞ」
張飛は自分の腹を摩った。
「雲長…俺、雲長の子を産みたい。駄目か?」
「何を言うか、やっと翼徳に拙者の子の命が宿ったのだ。是非、産んで欲しい…」
「雲長、嬉しい!」
張飛は関羽に抱きつく。
「よかったな翼徳…」
「兄者…」
劉備が張飛の頭を摩る。
「愛しい義弟が子を宿すのは嬉しい事だ」
「兄者、ありがとう…」
「元気な子を産んでおくれ翼徳…」
「ああ…」
劉備も張飛が懐妊した事を自分の事のように喜んだ。
「翼徳、共に元気な子を育てていこうぞ」
「ああ、雲長…約束するよ。一緒に子を愛していくと」
関羽は張飛の腹に触れ幸せな顔を浮かべたのであった。
終
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15th.Jul.2011
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