惇淵
時として、休息は必要だ。
無自覚なのはどうであろうか?
仕事をこなすのは良いのだが。
休みをあまり取らないのも困者だ。
夏侯淵の心配をよそに夏侯惇はいくつもの仕事をこなそうとしている。
いくらなんでも、無理をしているのは分かった。
「惇兄、こちらの仕事は俺がやっておきます…、少し休んでくれよ」
夏侯惇の隣にいた夏侯淵の制止の声がかかった。
「すまない淵、頼む…」
夏侯惇が夏侯淵に竹簡を渡す。
その後、椅子に持たれ架る。
「少し休む、終わり次第起こしてくれ」
「解った…」
炎山は瞼を閉じて眠りに入った。
夏侯淵は渡された竹簡を処理していった。
これぐらいなら、そんなに時間はかかるものではない。
暫くすると仕事は全て処理し終えた。
夏侯惇を起こさないと。
ふと夏侯惇を見るとすっかり眠っていた。
何だか起こすのは可哀想にだ。
暫くはこのままにさせたい。
でも、起こさないと。
「惇兄…仕事の処理が終わったぜ」
夏侯淵が声をかけるが反応が無い。
もう一度声をかけた。
「惇兄…」
声が届いたらしく閉じられていた瞼から漆黒の瞳がこちらを見つめる。
「ああ、すまない淵。つい眠ってしまったようだ」
「疲れてるな?ここの所ろくに眠っていないのに」
「心配かけてすまないな淵…」
「少し御自分の事を大切にしてくれよ惇兄」
「ああ、お前の言う通りにしよう」
夏侯惇は夏侯淵に微笑んだ。
「惇兄…」
「これからも頼んだぞ淵…」
「ああ…」
夏侯惇が楽になるならこれからは、多くこなしていかなくては。
そう誓った夏侯淵であった。
終
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7th.Jun.2011
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