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あれからクノイチ達が風呂から戻って来る迄、ひたすらシカマルと将棋を打ち続けた。
悔しいが何より楽しくて柄にも無くはしゃいでしまった。
二百なんて大した逸材は滅多に無い。
暗部にでも入れてやればサスケよりも使えそうな気がする。
……あいつには絶対言えないけど。
「男装名君ー、わたしの名前覚えてくれた?」
「ん、…いのだろ?」
今日でその質問何回目だ、と突っ込みたくなる。
いい加減にそう何回も聞かれたら嫌でも覚える。
醤油を取ってくれと言われ、キバに手渡しながらムフフと笑ういのを一瞥する。
「気持ち悪いわよ!いの」
「うるさい!ねぇ、男装名君の好きなタイプってどんなの?」
「あ、あんた直球ね…!」
何でこいつの正面に座ってしまったんだろう。
左隣のナルトも右隣のサスケも黙々と箸を進めて完全に知らん顔だ。
「…そんなの、サスケに聞けよ」
「サスケ君のタイプはもう知ってるの!」
「……へぇ」
こいつにも女の好みのタイプがあんのか、と半笑い気味でサスケを見た。
渋い顔で咳払いをしたサスケが必死に俺の視線に気付かないフリをしている。
「サスケのタイプって?」
「長い髪の女の子!」
「ブッ」
隣から小さく噴出す音が聞こえて、思わず俺も笑いそうになり口元を押さえる。
そこは吹くなよサスケ…。
図星だから吹いたのか、予想外だから吹いたのかは知らないけど。
こいつ、長い髪の女が好みなのか……と考えれば考える程に笑えた。
「くくっ、……可愛い」
「黙れウスラトンカチ!オレはそんな事一言も言った覚えはねぇ!」
苦し紛れの言い訳をほざくサスケを適当にあしらうと殺気が飛んできた。
(痛くも痒くもねぇな)
翌日に残す任務も殆ど無い為、それから暫くは気兼ね無く飲み騒いでいた。
酒を嗜んだキバが暴れ出し、赤丸が俺のところまで避難してきたり。
チョウジの領域にあった料理をアスマとナルトが摘まんでしまったりと中々に五月蝿かった。
「男装名も飲むか?お前はイケんだろ?」
シカマルとシノに酒を勧めて上機嫌なアスマに酒瓶をグイっと差し出される。
「ちょっとアスマ!男装名は今風邪気味なのよ?忘れたの?」
「お、そうだったな!悪ィ悪ィ」
紅の言葉で自分が仮病中である事を思い出す。
…すっかり忘れていた。
そろそろ風呂に入る方法も模索しなければ。
「…男装名」
「……ん?」
隣から小さい声に呼ばれる。
目が合った瞬間に嫌な予感がして、やっぱり一口でも飲んでおくんだったと後悔した。
「なに、サスケ」
「…外、出ようぜ」
顎でクイっと合図される。
俺が頷くと先に部屋から出て行ってしまったサスケ。
…あいつから誘ってくるなんて、なんだか妙に怖い。
「男装名君、サスケ君どうしたの?」
「外の空気吸ってくるって」
ナルト越しに問うてくるサクラに軽く返す。
一瞬だけナルトと目が合ったがすぐに逸らされた。
今のサスケとのやり取りに気付いていたのかもしれない。
別にサスケと一緒に抜けても良かったのだが言い訳を考えるのも面倒で、暫く時間を空けてから風呂に入ってくるという口実で外へ出た。
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