「…ん、」
どれくらい時間が経ったのだろう。美夜は目を覚ますと周囲は海に囲まれていた。
頭がクラクラとするなか、先ほどまでの出来事を思い出し絶望する。
「ふぅ…くっリ、ナリーっごめんね…ごめんねぇっリナリー!リナリー!!リナリィィー」
美夜は自分の膝に顔を埋め、涙が枯れるほど泣きじゃくった。
「あ、たし…のヒック…せいだ!!あたし…が、リナリーをっ!」
自分を責める。リナリーの意思とは言え、一緒に逃げ切れなかった自分に嫌悪したのだ。
ふと、水面に映る自身を見た。目の下は涙のせいで腫れている。
「…ぶっさいく……」
ハラハラと流れ、止まらない涙にリナリーに昔言われた事を思い出した。
「何泣いてるの?」
「美夜は笑った方が可愛い!!」
「こら!泣いちゃ駄目でしょ?強くならなきゃ!」
「私ね…美夜は泣いてるより笑ってる方が大好き!」
「ね?泣かないで…笑って?笑って悲しい事吹っ飛ばそ?」
「……ふ…」
考えれば懐かしく楽しかった思い出のはずなのに、思い出すと逆に悲しくなる。
「ふふ…あ、あはははは…」
それでも、#name2#は無理矢理笑おうとした。彼女が好きと言った笑顔。
でも、端から見れば無表情だ。
それは水面にも映る。
「あ…れ?笑えないよ…あはは…どうやって笑うんだっけ…」
#name2#は笑おうと思っているのに、そうしようとしているのに笑顔が出ない。まるで、笑い方を忘れてしまったみたいだ。
「あれ?あれれ?笑えないなぁ…」
出てくるのは笑みじゃなく、涙。
「…笑え、ないよ」
あはは、と口に出すも、顔は歪み#name2#はボロボロと涙した。
「リナリー…あたし…リナリーに会いたい…会いたいよ…」
#name2#は泣くだけ泣いた。それは何時間経ったか分からないほどで、疲れたせいか眠くなってきた。
「帰らなきゃ…あたしの本当の家…」
ポケットから時計を取り出すと、パチンと音をならしながら時計を開けた。
「《入口…開けよ》」
ただ一言。
すると、水面から、なかったはずの扉が現れ、開いた。
##NAME2##はその扉が開ききる前に、倒れ込むように扉の向こうへ入った。