02
「…ん、」


どれくらい時間が経ったのだろう。美夜は目を覚ますと周囲は海に囲まれていた。

頭がクラクラとするなか、先ほどまでの出来事を思い出し絶望する。


「ふぅ…くっリ、ナリーっごめんね…ごめんねぇっリナリー!リナリー!!リナリィィー」


美夜は自分の膝に顔を埋め、涙が枯れるほど泣きじゃくった。


「あ、たし…のヒック…せいだ!!あたし…が、リナリーをっ!」


自分を責める。リナリーの意思とは言え、一緒に逃げ切れなかった自分に嫌悪したのだ。
ふと、水面に映る自身を見た。目の下は涙のせいで腫れている。


「…ぶっさいく……」


ハラハラと流れ、止まらない涙にリナリーに昔言われた事を思い出した。


「何泣いてるの?」

「美夜は笑った方が可愛い!!」

「こら!泣いちゃ駄目でしょ?強くならなきゃ!」

「私ね…美夜は泣いてるより笑ってる方が大好き!」

「ね?泣かないで…笑って?笑って悲しい事吹っ飛ばそ?」



「……ふ…」



考えれば懐かしく楽しかった思い出のはずなのに、思い出すと逆に悲しくなる。


「ふふ…あ、あはははは…」



それでも、#name2#は無理矢理笑おうとした。彼女が好きと言った笑顔。

でも、端から見れば無表情だ。

それは水面にも映る。


「あ…れ?笑えないよ…あはは…どうやって笑うんだっけ…」



#name2#は笑おうと思っているのに、そうしようとしているのに笑顔が出ない。まるで、笑い方を忘れてしまったみたいだ。


「あれ?あれれ?笑えないなぁ…」


出てくるのは笑みじゃなく、涙。


「…笑え、ないよ」


あはは、と口に出すも、顔は歪み#name2#はボロボロと涙した。


「リナリー…あたし…リナリーに会いたい…会いたいよ…」


#name2#は泣くだけ泣いた。それは何時間経ったか分からないほどで、疲れたせいか眠くなってきた。


「帰らなきゃ…あたしの本当の家…」


ポケットから時計を取り出すと、パチンと音をならしながら時計を開けた。


「《入口…開けよ》」


ただ一言。

すると、水面から、なかったはずの扉が現れ、開いた。

##NAME2##はその扉が開ききる前に、倒れ込むように扉の向こうへ入った。



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