02
あの日から一週間が経った。
風紀の仕事は忙しいもので、今だに増え続ける転入生の溜まりに溜まった被害届の書類を手にため息をついた。
ここまで仕事が多いと流石に疲れる。少し休憩をしようと窓の外に目を向けた。
「……あ」
外を見ると羽山海里がいた。最近、彼をよく見かける。
彼の名前を知ったのは一週間前、事情聴取が終わった後に何となく彼が気になって副委員長である玲斗に聞いた所、玲斗は羽山と同じクラスらしく「委員長が知らなくてどうするんですか」と毒を吐かれてしまった。
「委員長」
「ん?」
いつ入って来たのだろうか。羽山を見ていたからか玲斗が入って来ていたのに気が付かなかった。
玲斗は俺に目を向けたあと、俺が見ていた方を見た。
「…ああ、また海里君ですか」
「ああ、最近よく見かけるからな」
「そうですか」
そんな事より、と続ける玲斗が何を言おうとしているかは分かってしまうのは長年の付き合いだろう。
彼とは中等部の時も同じ立ち位置でお世話になったものだ。
「期限の近い書類なら、もう理事長に持っていっている」
「…わかりました。……あと、新しい書類なんですが…」
「…またか」
きっとまた転入生関係なんだろうと書類を見なくても分かる。現に玲斗も苦々しい顔をしている。一目瞭然だ。
しかも、転入生からの被害届がいつも40枚くらい提出される。殆どが親衛隊か転入生のクラスの奴らからだ。
「…今日は徹夜か」
目の前に置かれた書類に小さく息を吐き、パラパラとめくった。
……オイコラ、教師からの被害届は論外だ。
モドル