13
「あ」
そこには今日、初めて目にした会長がいた。
「会長、どうかしたんですかー?」
「…神楽に用があるだけだ」
ニコニコと愛想良く笑う皐月に会長は鋭く睨んだ。
…やっぱり一年前に何かしたんだよ。謝っとけ皐月。
てか、俺に用ですか。そうですか。とても嬉しいけど、クラスの視線が痛いです!
「会長、どうかしたのか?」
「いや、神楽が良ければ二人で昼をとろうかと思って」
そう言う会長は眩しいくらいの笑顔だった。初めてみたその笑顔に胸にグッと来る。駄目だ。そんな言い方すると俺、変態だ。
「あー、皐月も一緒だけどい…」
「あ"?」
「くないですよねー」
「千里、敬語になってる」
敬語になるのも仕様がないじゃないか。昨日見たあの恐ろしい顔だったんだから。思わず俺笑顔になったよ。
「皐月、やっぱり謝っとけ。絶対何かしたから」
「してないってば。てか、俺の事はいいから会長と食べれば?」
「何でそんな酷い言い方すんの!?」
「会長と一緒に食べていいよ?俺、別の奴と食べるからさ!俺の事は気にしないで!!」
「…キモい」
「ちょっと!?俺の心は繊細なガラスで出来てるんだからね!!」
胸に手を当てて言う皐月に笑いが込み上げて、堪らず笑ってしまった。
俺の優しさを無にしやがって、と愚痴愚痴言うのを耳に入れながら頑張って笑いを治める。
「……」
会長の方を見ると、眉が寄っていた。
「会長?」
「会長ー、どうぞ千里を連れてって下さい。煮るなり焼くなり」
「おいコラ」
それはどういう事だ、と皐月を睨み付けるが、皐月はニコニコとしたままだった。クラスの奴らもホワホワと微笑んでいる。
何なんだ一体。
モドル