12
「ふわ、ぁ…」
あー欠伸が出た…
お経のように話す古文の先生の授業にうとうとと舟を漕ぐ。
昨日あんな事があって、ちーには好きな人がいるか聞けって言われたけど、今日はまだ会長に出会っていない。
今は4時間目だから早く授業よ終われーと願っていると、丁度チャイムが鳴った。
「千里、お前授業中舟漕いでたぞ」
「うるさい。古文の時は眠いんだよ」
授業が終わった途端に俺の席に来て茶化す皐月を睨んだ。
「それはそうと千里、最近会長の様子が変なんだけど」
「は?変?」
「うん、変」
会長の様子が変だと言う皐月はニヤニヤと笑っている。
何で様子が変な事でニヤニヤするんだ。
「何かねー、俺を頻繁に睨んでくんのー。何でかなぁ?」
「お前、まさか会長に何かしたのか?」
「……鈍ちん」
「は?」
皐月は呆れた目で俺を見ている。意味分からないんだけど。鈍くないし。意味分からないんだけど。
「…ん?頻繁って?」
「んー?俺、結構前…一年程前から睨まれてたよ。痛いの何の…」
「お前、一年前を振り返れ。絶対何かしたから」
「……馬鹿」
「はぁ?」
次は馬鹿ですか。俺は特待生だし、一位をキープしてるから皐月程ではないと思う。
ため息を吐く皐月に意味分かんねぇって言ったら、分からないのはお前だけだからと返された。
…何で?
「あ…」
「どうかしたのか?」
呆れた目で俺を見ていた皐月が何処かを見て呟いた。
皐月は明らかに俺の後ろを見ていて、クラスの奴らも騒いでたから何かあるのかと後ろを振り向いた。
モドル