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「――て事が今日はありました」
「何それ、超奇跡じゃん。」
「むしろ一生分の奇跡を使い果たしたよ」
身を乗り出して目を輝かせるちーにため息をついた。
「ため息つくな。折角の幸せが逃げる。飲み込め。」
「真顔で言うの止めて」
一日の出来事をちーに報告するのはもうお決まりだ。
ちーが来てからはもう二週間が経った。
「何か、逆に想いを届けにくくなった感じ…」
「何で?」
「だって仲良くなったんだよ?会長にとっては友達なんだろうけど、俺は違うもん。言ったら今の状態が壊れる」
「あー…それは嫌だな」
再びため息をついた俺にちーは納得したようにソファの凭れる。
俺は用意していたお茶を飲もうと口に含んだ。
「それ以前に会長ってノンケかな?ゲイかな?」
「ぶっ」
「ちょっサト汚い!」
「ゲホッゴホッ」
ちーの発言に思わず噎せてしまった。何を言い出すと思ったら!!
「何言ってんの!?」
「え、だって気になるだろ。告白するなら、それ位聞かなきゃ。ノンケ?ゲイ?」
「……」
「あ!好きな人がいるか聞けばいいじゃん!!」
「はぁ?」
ぐりんと振り返ったちーは無表情ながらも目が輝いていた。
「よし決定。明日、学校に言ったら聞きなさい。」
「聞きなさいってお母さんか」
「これは課題だ!」
「…先生か」
今日何度目かのため息を付き、舞い上がるちーを無視して俺はベッドに入り、眠りについた。
モドル