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少し苛立ちを感じているような口調に驚きながらも会長をみると、怒っているような悲しそうな顔をしていた。


「この前も神楽は俺を否定したからな…」

「は?」

「記憶を捨てろと言ってただろ?」

「あー、まあ」


確かに自分との会話を覚えてくれてるなんて烏滸がましいなんて思ってるし。


「今回も…」

「…あの、会長は何が言いたいのか分からないけど、迷惑とは思ってないよ?」

「は?」

「ん?」


寧ろ俺が迷惑掛けてるだろうなと思う。

今の会長の顔は呆気に取られたような顔をしている。どうかしたのかね。


「…迷惑じゃ、ないのか?」

「いや、寧ろ俺が迷惑掛けてるし…。この前も誘っといて話しに詰まるし、今回だって会長の手を煩わせた」

「そんな事はない。誘ってくれて嬉しかったし、俺がしたくてした事だ。」

「そ、そう?」


ちょっと会長!何でそんな格好良い事を言うのかな!?惚れるじゃん!惚れてるけど!!

と、言いたいけど言ったら冷たい目で見られるかもしれないから抑える。


今、顔が少し赤くなってるだろうなと思って、手で扇ぎながら今日は暑いなー、とか言ってみた。


「……神楽」


名前を呼ばれて、振り向くと真剣な表情をした会長がいた。


「…何?」


見た事はあっても至近距離、しかも真ん前でされると心臓が持たない。

頑張って冷静を保った。



「神楽が迷惑じゃないなら、俺は神楽の傍にいてもいいのか?」

「へ?傍!?無理無理!!」

「…は?」


確かに傍にいたい!けど!!

それは自虐行為になるじゃないか。無理に決まってる。


…何で会長はまた怒ってる顔になってるの?


「…………何でだ?」


今の会長の表情に合った、地を這うような声に肩が揺れた。

な、何か会長が怖いんだけど…


「……神楽…何でだ?」

「あ、いや…だって親衛隊の制裁が怖いし…」


繰り返して言う会長に正直に伝えると、会長はいつものポーカーフェイスに戻っていた。


「親衛隊なら大丈夫だ」

「は?」

「ちゃんと伝えてあるからな」


何を?と聞きたかったけど、その前に見せられた会長の笑顔に聞く事が出来なかった。

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  モドル

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