03



気が付いた時には会長の前の机が風紀委員長と共に倒れていた。

なんか転校生が風紀委員長に最低だとか叫んでいるけど、その前に会長だよ。凄い絶望的な顔をしている。てか泣きそうな顔してる。誰が最低って、転校生だよ、お前だよ馬鹿。

とりあえず机を戻してスプーンに乗ったパフェをパクっと食べてモグモグする会長可愛い。新聞部の血が騒いだため写真を撮らせてもらった。

飲み込んだのかプルプル震えている。僕はらしくもなく会長を見てオロオロしている。どうしよう、そう思った時だった。


「うるせぇのはお前だよ馬鹿やろぉおお!!!」


会長がぎゃあぎゃあと騒ぐ転入生の言葉を遮るように机を思いきり叩いた。
それには僕もびっくりする。


「おまっ!急も何も俺が楽しみにしていたチョコパフェをお前が風紀をぶっ飛ばした所為で悲惨な事になっただろうがあああ!!!俺の口の中に入ったのは一口分なんですけど!?まじ有り得ないから!!全国の甘党さんに土下座して謝れるぐらいお前は重い罪を犯したんだ!!てか謝れ!!まじふざけんなよ!!!」


ハァハァと言い切ったのか息切れをする会長に食堂にいる全員が唖然とした。


「は、チョコパフェ?お前チョコパフェ好きなのか?」


呆然としていた転入生も有り得ないとでも言うように口をワナワナと動かす。まあうん、気持ちは分かる。


「甘党全般好きだが?」


その言葉にざわつく。でもチョコパフェが来たときのあの反応に納得せざるを得ない。


「ハッ何だ、結局お前も見た目で決めるんだな。何が俺は分かってる、だ。お前は俺の何を分かってるんだ?仕事をしてないって?俺様やクールなのは親の愛情が足りないから?意味分かんねぇことぬかすんじゃねぇよ!俺はそこにいる役員の変わりに仕事を寝る間も惜しんでやっている!俺様やクールはお前らが俺の見た目や性格から決めた理想論だろ!!俺は親に愛情をちゃんと注いでもらっている!勝手な事を決め付けるな!……っお前らの理想を俺に押し付けるな!!」


それを言われた瞬間、僕は自分が少し嫌になった。つい先ほどまで僕も会長は俺様でクールだと思っていたからだ。理想、というより僕は噂を真に受けていたのだ。


それから会長は本当は恨んでもいいはずの生徒会役員達に声を掛け、優しげな声質で帰ってくるように言っていた。

僕は会長の寛大さに涙した。

役員達もきっと会長とおんなじ気持ちだったんだろうな。決めつけられて苦しんで、受け入れてくれる転校生が来て道を踏み外して。会長のように言葉にしなきゃ分からないことってあるんだな、って改めて思った。


会長が頷く役員達に微笑んでいるのを見て僕は思った。



あ、今落ちる音がした。



もちろん僕のじゃなくて食堂にいる他の奴ね。
流石にノーマルは抜け出せないわ。

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  モドル

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