モンメンは、飛び出したムンナ(お姉さんが教えてくれた)に警戒心をむき出しにしていた。
そんなモンメンを見た私は、どうしたら良いのかと戸惑った。そして痺れを切らしたかのように、お姉さんに借りたムンナは私を振り返った。きっと指示を待っているのだろう。
…けれど、私はこのムンナが何を覚えているのか分からない。
テレビを見た程度の付け焼刃なポケモンの知識しか持っていない私が、どうやってこのモンメンを捕獲する事が出来るのか。
頭の中が不安で一杯。溢れかえるのではないかと言うくらいの焦燥感が、思考回路を支配していく。
どうしよう、どうしよう。
「リゼちゃん!ムンナにねんりきを指示して!」
「!」
後ろから、ナースのお姉さんの鋭い声が飛んできた。私はほぼ反射的に口を開いて声を作り出した。
「ム、ムンナ!ねねね、ねんり、き!!」
「ムゥン!」
空間がぐにゃりと曲がって、見えない何かがモンメンへと真っ直ぐに飛んでいった。たぶんアレが、ねんりきなのだろう。
モンメンは、ムンナの作り出したねんりきと真正面からぶつかった。
「モキュッ!?」
吹っ飛んだモンメンをぼんやり見ていると、後ろで見ていたお姉さんが「早くモンスターボールを投げて!」と叫ぶように言った。
それに驚いて、手に持った空のモンスターボールを地面に落とすと、お姉さんは小さくため息を吐いていた。
…どんくさくてごめんなさい。
「お、お願いします!」
お願いしますと言っても、一体何にお願いするのだろうか。なんて考えながら、拾ったボールをモンメンに向かって投げると、それはフラフラと飛んだ。綺麗な弧とは決して言えれなかったけれど、それでもモンメンの近くまで飛んだボールは、口を開いてモンメンを中に入れた。
カタカタと揺れるボールをまじまじと見つめていると、ボールは動かなくなった。
もしかして、いや、これは。
「お姉さん、私…」
ゲット出来たんですか。
そう質問しようとしたけれど、お姉さんの向日葵のような笑顔が問わずともその答えを教えてくれた。
地面に落ちたモンスターボールを拾うと、それは僅かに揺れた。
パチパチと拍手の音が聞こえて、後ろを振り向くとムンナをなでているナースのお姉さんが目に入った。
「どう?自分のポケモンをゲットした今の気分」
「え、ええっと…その、すっごく嬉しい、です」
赤と白の球体を指先で撫でると、それに答えてくれるかのように揺れるボール。
その揺れは、確かに私の手の中に一つの命があるという事を知らせてくれて、嬉しさや驚きや、色々な感情が混ざって不思議な感覚にさせてくれる。
本当は、嬉しいなんて言葉だけじゃ言い表せないくらいの感情が胸の中に渦巻いているのだ。
「本当に、ありがとうございました!」
「ううん。冒険、頑張ってね」
「はい!」
ナースのお姉さんは、モンメンの体力の回復をしてくれた後、また森の外へと行ってしまった。
私はというと、モンスターボールから出したままのモンメンと向き合っていた。
「私はリゼ。よろしくね!」
「モキュ?」
「…可愛い。」
日が暮れるまで初めて捕まえたポケモンと向き合ってかみ合わない会話をしていたリゼは、もう一晩泊めてもらえないかと老夫婦の家を尋ねるのであった。
初めての、
(相棒ゲット!)
10/10/11
そんなモンメンを見た私は、どうしたら良いのかと戸惑った。そして痺れを切らしたかのように、お姉さんに借りたムンナは私を振り返った。きっと指示を待っているのだろう。
…けれど、私はこのムンナが何を覚えているのか分からない。
テレビを見た程度の付け焼刃なポケモンの知識しか持っていない私が、どうやってこのモンメンを捕獲する事が出来るのか。
頭の中が不安で一杯。溢れかえるのではないかと言うくらいの焦燥感が、思考回路を支配していく。
どうしよう、どうしよう。
「リゼちゃん!ムンナにねんりきを指示して!」
「!」
後ろから、ナースのお姉さんの鋭い声が飛んできた。私はほぼ反射的に口を開いて声を作り出した。
「ム、ムンナ!ねねね、ねんり、き!!」
「ムゥン!」
空間がぐにゃりと曲がって、見えない何かがモンメンへと真っ直ぐに飛んでいった。たぶんアレが、ねんりきなのだろう。
モンメンは、ムンナの作り出したねんりきと真正面からぶつかった。
「モキュッ!?」
吹っ飛んだモンメンをぼんやり見ていると、後ろで見ていたお姉さんが「早くモンスターボールを投げて!」と叫ぶように言った。
それに驚いて、手に持った空のモンスターボールを地面に落とすと、お姉さんは小さくため息を吐いていた。
…どんくさくてごめんなさい。
「お、お願いします!」
お願いしますと言っても、一体何にお願いするのだろうか。なんて考えながら、拾ったボールをモンメンに向かって投げると、それはフラフラと飛んだ。綺麗な弧とは決して言えれなかったけれど、それでもモンメンの近くまで飛んだボールは、口を開いてモンメンを中に入れた。
カタカタと揺れるボールをまじまじと見つめていると、ボールは動かなくなった。
もしかして、いや、これは。
「お姉さん、私…」
ゲット出来たんですか。
そう質問しようとしたけれど、お姉さんの向日葵のような笑顔が問わずともその答えを教えてくれた。
地面に落ちたモンスターボールを拾うと、それは僅かに揺れた。
パチパチと拍手の音が聞こえて、後ろを振り向くとムンナをなでているナースのお姉さんが目に入った。
「どう?自分のポケモンをゲットした今の気分」
「え、ええっと…その、すっごく嬉しい、です」
赤と白の球体を指先で撫でると、それに答えてくれるかのように揺れるボール。
その揺れは、確かに私の手の中に一つの命があるという事を知らせてくれて、嬉しさや驚きや、色々な感情が混ざって不思議な感覚にさせてくれる。
本当は、嬉しいなんて言葉だけじゃ言い表せないくらいの感情が胸の中に渦巻いているのだ。
「本当に、ありがとうございました!」
「ううん。冒険、頑張ってね」
「はい!」
ナースのお姉さんは、モンメンの体力の回復をしてくれた後、また森の外へと行ってしまった。
私はというと、モンスターボールから出したままのモンメンと向き合っていた。
「私はリゼ。よろしくね!」
「モキュ?」
「…可愛い。」
日が暮れるまで初めて捕まえたポケモンと向き合ってかみ合わない会話をしていたリゼは、もう一晩泊めてもらえないかと老夫婦の家を尋ねるのであった。
初めての、
(相棒ゲット!)
10/10/11