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今夜、星を見ようよと、N君は言った。
どこかでそんな歌を聴いたことがあるよと私が笑えば、N君も笑った。



夜、空を見上げると真っ黒に塗りつぶした中にぽつりぽつりと咲く、無数の星々。
少し冷えた外気に身を震わせると、N君は私をぎゅぎゅっと抱きしめた。嗚呼、暖かいなあ。

「知ってる?リゼ」
「何?」
「ボクらが今見てる星の光の中には、今から何年も、何百年も昔の光があるんだって」

ボクのトモダチが教えてくれたんだ。
私はトテトテとこちらに向かってくる、足取りが危うい彼のトモダチ、ピィ。そういえば。私も誰かから、ピィやピッピ、ピクシーは宇宙からやって来たポケモンだって聞いた事があるような…ああ、それはN君からだっけ。

でもN君がさっき話してくれた事は、私もN君じゃない誰かから聞いた事がある。光の速さでも、何年もかかるほどの遠い遠い所にある星。



「…何年も、かかる距離だのに」

N君の口から、白い息が飛び出した。彼の雪のように透き通った白い肌が綺麗だ。…鼻の部分だけ、少し赤く色づいて可愛い。

「それでも、光は諦めないでボクらのところにやってきたんだね」
「!」
「凄いなあ」

リゼもそう思うでしょ?と言わんばかりにこちらを見て笑顔を浮かべるN君に、思わず頬が綻ぶ。

「変なN君。光に諦めるなんて無いよ、だって、光には感情が無いもの」
「そうかなあ?」

首を傾げるN君にそうだよ!と言った私は空を見上げた。星が瞬く。きらきら、キラキラ。音が聞こえそうなくらいに、眩しくて。でも、あまりにも小さくて、儚くて。
実際には私の何万倍、何千万倍どころか、この地球の何億倍もの大きさの星かもしれないのに、小さく見えるのが面白くって。

星って、宇宙って、不思議だ。

「でもさあ」
「まだ何かあるの?N君」
「酷いなあ、リゼ」
「冗談だよ。…で、どうしたの?」

思い切り息を吸うと肺が凄く冷たい。
思い切り息を吐くと空気が白く色づいた。

「ボクらがこうやって、この広い宇宙の中で出会えたのって素敵だと思う」
「!」
「…星、綺麗だね」

ポケットの中で冷たい手を待つカイロよりも、もっともっと。今の私の顔は熱を持っているんだろう。
それで、後ろから抱きしめられてる所為で分からないけれど、N君もそうだったら、いいな。なんて。



星屑ポップス
ロマンチストと星空のコンビネーションの破壊力といったら!



10/12/15


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