Pkmn | ナノ

Top | 06/02 | Main | Clap



※恋愛無い



「ごめーん」

タタタ、向こうから金髪の髪を揺らしながら走って来る女の子、ベルは私とチェレンの前で手を当てて謝った。

「また寝坊か」
「冒険に出る日だっていうのにね」

待たされるのが嫌いなチェレンが眉を潜めながらそう呟き、リゼがやんわりとトドメを刺しにかかるのを、ベルは方で息をしながら聞いていた。彼女の眉は垂れており、目には薄っすら涙が伺える。

「ご、ごめんって・・・」
「ま、いいけど!ね、チェレン」
「そうだな」

チェレンとリゼが笑みを浮かべるのを見て、ようやく息を整えたらしいベルはほっと息をついた。



今日、この三人はアララギ博士から新人トレーナー用のポケモンを貰って旅に出る。

「私、この子でチャンピオンになるからね!」
「何言ってんだ、俺のコイツが一番強くなる」
「えー私のも強そうだよー」
「・・・チェレンもベルも、私に勝てると思ってんの?」
「うーん、・・・ちょっと思ってるかな。」
「リゼもベルも、テストの点数もポケモン勝負も俺に勝てると思うのか」
「何でチェレンはそうやって勉強に持っていこうとするの」

新しいポケモンが入った、キズ一つ無いツルツルとしたモンスターボールを両手で大事そうに持った三人は、1番道路の手前まで歩いた。
誰がチャンピオンになるか、なんて夢のまた夢のような話は、最終的に言い合いのような形で終わる事になった。



「図鑑完成、できるかな。」

もう少しで1番道路。町と道路の境目となる看板が見えた時、不安そうに呟いたベルの言葉に、リゼは笑顔で答えた。

「私達なら、出来るよ」

チェレンも無言ながら頷き、ベルも笑って「そうだね」と言った。



さあ、今1番道路に出ようと足を進めようとしたチェレンの腕を「わわわ」と言いながら捕まえるリゼ。冒険の記念すべき第一歩を邪魔され、不機嫌そうにリゼを見るチェレン。

「チェレンに先行かれるのなんか嫌」
「俺だってリゼに先行かれるなんて御免だね」
「な、何よ!チェレンのばか!メガネ!」
「そういうリゼだって・・・―――

また言い合いを始めた二人を止めたのは、出発の時間ではなく(寧ろ出発の予定時間はとっくに過ぎている)
「あっ」と叫んだベルの声だった。

「私、提案があるんだけど!」
「何だ」

ベルは、そのクリクリとした大きな瞳を細め、1番道路と書かれた看板を指差した。

「皆で、一緒に踏み出そうよ。」



「いい?チェレン絶対に先行かないでよ」
「リゼもな。」
「じゃあ、行くよ?・・・せえのっ!」



行ってきます!
お互い、頑張ろうね!



10/09/18


[ BACK ]
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -