※恋愛無い
「ごめーん」
タタタ、向こうから金髪の髪を揺らしながら走って来る女の子、ベルは私とチェレンの前で手を当てて謝った。
「また寝坊か」
「冒険に出る日だっていうのにね」
待たされるのが嫌いなチェレンが眉を潜めながらそう呟き、リゼがやんわりとトドメを刺しにかかるのを、ベルは方で息をしながら聞いていた。彼女の眉は垂れており、目には薄っすら涙が伺える。
「ご、ごめんって・・・」
「ま、いいけど!ね、チェレン」
「そうだな」
チェレンとリゼが笑みを浮かべるのを見て、ようやく息を整えたらしいベルはほっと息をついた。
今日、この三人はアララギ博士から新人トレーナー用のポケモンを貰って旅に出る。
「私、この子でチャンピオンになるからね!」
「何言ってんだ、俺のコイツが一番強くなる」
「えー私のも強そうだよー」
「・・・チェレンもベルも、私に勝てると思ってんの?」
「うーん、・・・ちょっと思ってるかな。」
「リゼもベルも、テストの点数もポケモン勝負も俺に勝てると思うのか」
「何でチェレンはそうやって勉強に持っていこうとするの」
新しいポケモンが入った、キズ一つ無いツルツルとしたモンスターボールを両手で大事そうに持った三人は、1番道路の手前まで歩いた。
誰がチャンピオンになるか、なんて夢のまた夢のような話は、最終的に言い合いのような形で終わる事になった。
「図鑑完成、できるかな。」
もう少しで1番道路。町と道路の境目となる看板が見えた時、不安そうに呟いたベルの言葉に、リゼは笑顔で答えた。
「私達なら、出来るよ」
チェレンも無言ながら頷き、ベルも笑って「そうだね」と言った。
さあ、今1番道路に出ようと足を進めようとしたチェレンの腕を「わわわ」と言いながら捕まえるリゼ。冒険の記念すべき第一歩を邪魔され、不機嫌そうにリゼを見るチェレン。
「チェレンに先行かれるのなんか嫌」
「俺だってリゼに先行かれるなんて御免だね」
「な、何よ!チェレンのばか!メガネ!」
「そういうリゼだって・・・―――
また言い合いを始めた二人を止めたのは、出発の時間ではなく(寧ろ出発の予定時間はとっくに過ぎている)
「あっ」と叫んだベルの声だった。
「私、提案があるんだけど!」
「何だ」
ベルは、そのクリクリとした大きな瞳を細め、1番道路と書かれた看板を指差した。
「皆で、一緒に踏み出そうよ。」
「いい?チェレン絶対に先行かないでよ」
「リゼもな。」
「じゃあ、行くよ?・・・せえのっ!」
行ってきます!
お互い、頑張ろうね!
10/09/18
「ごめーん」
タタタ、向こうから金髪の髪を揺らしながら走って来る女の子、ベルは私とチェレンの前で手を当てて謝った。
「また寝坊か」
「冒険に出る日だっていうのにね」
待たされるのが嫌いなチェレンが眉を潜めながらそう呟き、リゼがやんわりとトドメを刺しにかかるのを、ベルは方で息をしながら聞いていた。彼女の眉は垂れており、目には薄っすら涙が伺える。
「ご、ごめんって・・・」
「ま、いいけど!ね、チェレン」
「そうだな」
チェレンとリゼが笑みを浮かべるのを見て、ようやく息を整えたらしいベルはほっと息をついた。
今日、この三人はアララギ博士から新人トレーナー用のポケモンを貰って旅に出る。
「私、この子でチャンピオンになるからね!」
「何言ってんだ、俺のコイツが一番強くなる」
「えー私のも強そうだよー」
「・・・チェレンもベルも、私に勝てると思ってんの?」
「うーん、・・・ちょっと思ってるかな。」
「リゼもベルも、テストの点数もポケモン勝負も俺に勝てると思うのか」
「何でチェレンはそうやって勉強に持っていこうとするの」
新しいポケモンが入った、キズ一つ無いツルツルとしたモンスターボールを両手で大事そうに持った三人は、1番道路の手前まで歩いた。
誰がチャンピオンになるか、なんて夢のまた夢のような話は、最終的に言い合いのような形で終わる事になった。
「図鑑完成、できるかな。」
もう少しで1番道路。町と道路の境目となる看板が見えた時、不安そうに呟いたベルの言葉に、リゼは笑顔で答えた。
「私達なら、出来るよ」
チェレンも無言ながら頷き、ベルも笑って「そうだね」と言った。
さあ、今1番道路に出ようと足を進めようとしたチェレンの腕を「わわわ」と言いながら捕まえるリゼ。冒険の記念すべき第一歩を邪魔され、不機嫌そうにリゼを見るチェレン。
「チェレンに先行かれるのなんか嫌」
「俺だってリゼに先行かれるなんて御免だね」
「な、何よ!チェレンのばか!メガネ!」
「そういうリゼだって・・・―――
また言い合いを始めた二人を止めたのは、出発の時間ではなく(寧ろ出発の予定時間はとっくに過ぎている)
「あっ」と叫んだベルの声だった。
「私、提案があるんだけど!」
「何だ」
ベルは、そのクリクリとした大きな瞳を細め、1番道路と書かれた看板を指差した。
「皆で、一緒に踏み出そうよ。」
「いい?チェレン絶対に先行かないでよ」
「リゼもな。」
「じゃあ、行くよ?・・・せえのっ!」
行ってきます!
お互い、頑張ろうね!
10/09/18