ああ、不味い。
目の前のお菓子を口に放り込みながら思った。何が不味いって、そりゃもちろん味覚的な意味で。甘味と辛味が雑に混ざり合って、不協和音を生み出している。勿論、甘いのと辛いのが混ざったお菓子にだって、おいしいものはある。あるのだけれど……何というか、これはあまりにも安っぽい味がして、とてもじゃないけれど美味しいと言える代物ではなかった。
「ラムダさん、味覚おかしいんじゃないの。」
口に広がる微妙な味を、無理矢理のどの奥へと流し込みながらリゼはぽつりと言葉を零した。突然やって来て、これやるよとお菓子の袋を私につかませたラムダさん。珍しいこともあるものだと早速試食してみたらこれだ。タダより不味い物は無いと、改めて教えられた気分になる。
「タバコ吸ってると、味覚おかしくなるんだっけ」
「ドガースの毒ガス吸い込みすぎた所為とか」
「じゃなかったら私にコレ押し付けたとか」
独り言を呟きながら、小首を傾げる。
私にお菓子をくれるときのラムダさんの笑顔を思い出すと、押し付けられた可能性を捨てたくなる。大丈夫、きっと、ラムダさんの味覚がおかしいんだよ。大丈夫、大丈夫……。
ってあれ。
リゼはふと、目の前のお菓子が少なくなっているのに気づいた。勿論、この空間には私しか居ないわけで、私は考えながら不味いお菓子を食べていたという事になる。
(アレだけ不味いって言ったのに。変なの)
口に広がる不快感は、確かに嫌いな味なのに。それなのに自然とまたお菓子のほうへ手を伸ばすのを、私は不思議な気分で見つめていた。
なぞのちゅうどくせい
別に、ラムダさんから貰ったお菓子なのに勿体無いとかそんな事、別に
10/11/16
目の前のお菓子を口に放り込みながら思った。何が不味いって、そりゃもちろん味覚的な意味で。甘味と辛味が雑に混ざり合って、不協和音を生み出している。勿論、甘いのと辛いのが混ざったお菓子にだって、おいしいものはある。あるのだけれど……何というか、これはあまりにも安っぽい味がして、とてもじゃないけれど美味しいと言える代物ではなかった。
「ラムダさん、味覚おかしいんじゃないの。」
口に広がる微妙な味を、無理矢理のどの奥へと流し込みながらリゼはぽつりと言葉を零した。突然やって来て、これやるよとお菓子の袋を私につかませたラムダさん。珍しいこともあるものだと早速試食してみたらこれだ。タダより不味い物は無いと、改めて教えられた気分になる。
「タバコ吸ってると、味覚おかしくなるんだっけ」
「ドガースの毒ガス吸い込みすぎた所為とか」
「じゃなかったら私にコレ押し付けたとか」
独り言を呟きながら、小首を傾げる。
私にお菓子をくれるときのラムダさんの笑顔を思い出すと、押し付けられた可能性を捨てたくなる。大丈夫、きっと、ラムダさんの味覚がおかしいんだよ。大丈夫、大丈夫……。
ってあれ。
リゼはふと、目の前のお菓子が少なくなっているのに気づいた。勿論、この空間には私しか居ないわけで、私は考えながら不味いお菓子を食べていたという事になる。
(アレだけ不味いって言ったのに。変なの)
口に広がる不快感は、確かに嫌いな味なのに。それなのに自然とまたお菓子のほうへ手を伸ばすのを、私は不思議な気分で見つめていた。
なぞのちゅうどくせい
別に、ラムダさんから貰ったお菓子なのに勿体無いとかそんな事、別に
10/11/16