Pkmn | ナノ

Top | 06/02 | Main | Clap



「ラムダ様、この間の任務の……」

ダチャリ。ラムダ様の部屋のドアを開ける。……と、ラムダ様が座っているはずの席に、ランス様が座っていた。

あれー……私、入る部屋間違えた?いやいや、そんなことはない。だって部屋の隅のドレッサーには、ラムダ様の化粧道具がたくさんおいてあるし。


「あの、ランスさ」「貴女たしか……リゼ、でしたっけ」
「あ、はい!」
「ノック。」

ドアに指を刺してきつく言うランス様。ひぇー、さすが自称冷酷なお方、目が怖いです。

「すみません……、ええと……何故ランス様がここに」
「どうだっていいでしょう。」
「すみません」
「で、任務の報告書ですか?どれどれ、ラムダに見せる前に見てあげましょう」

バッとランス様は、私の手元から書類を奪い取った。

「フン、まあ良く出来ています」
「あ、ありがとうございます」
「仕事は有能なようですね……気に入りましたよ。」
「へ?」

気に入ったって、ランス様……あれ。何で席立ってこっち側に回ってくるんですか。
一歩下がれば一歩近付き、もう一歩下がればもう一歩近付き。そんなことを繰り返せば私の後ろは真っ白な壁。前はランス様。

「ラムダ班から、ランス班に移動しませんか?」
「え?」
「大丈夫ですよ、アポロやラムダには上手く話しますから」

耳元で囁かれて、ぞくぞくしてしまう。

「あの、ランス様」
「何でしょう、リゼ」
「私……ラムダ様の所がいい、です」

ランス様の整った顔をまっすぐ見つめながら、きっぱりと言う。そう、私はラムダ様のところがいいんだ。あの落ち着いた低い声を聞くだけで幸せになるのだから。

「そうですか。……残念です」
「す、すみません」

頭を下げて謝ると、ランス様は数秒間黙っていた。そして次の瞬間、
ハハハハ!! と、とても冷酷な幹部とは思えない、かけ離れた下品な笑い声を上げた。前を向くと、あの自称冷酷のランス様が大声で笑っている。信じられない。

そしてこの声は、この部屋の主の声だ。と気付くのにそんなに時間はかからなかった。

「ラムダ様!!!」
「わりーなリゼ、ちょっとおちょくってみた」
「酷いですよ! ランス班に行けって事ですか!」
「わりーわりー!! でも本当に行くって行ったら どうしようかと思ったぜ。」

ま、許せ!と笑いながら言う、ランス様の格好をしたラムダ様に私も思わず笑みがこぼれた。



どこにも行きませんよ
世界で一番大好きな声に一生ついて行くと決めましたから



10/02/11


[ BACK ]
×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -