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「さむいからおきたくない、なにもしたくない。」



リゼ、何時まで寝ている気だい?と言いながらマツバは布団を引っ張った。それに対抗して私も布団を引っ張った。

「…あのね、人は普通朝に起きて昼間に活動、3色きちんと食べて夜に就寝っていうリズムがあるんだよ?」
「うー」
「だから…ほら、リゼ、起きて。」
「……あっ!」

急に布団を引っぺがされて、捲れて露出していたお腹を冷たい風が撫でる。慌てて離れていく布団に手を伸ばすが、虚しく空をきった手は、パタンと敷布団の上に落ちた。

(ああさむい、こごえてしまう。)

暖かいモノを求めて動き回る私は、マツバの腕の中で落ち着いた。

「あったかー」
「…そう。」
「………おなかすいた。」
「じゃあ、朝ご飯食べるかい?」
「…うん。」

あまり回らない頭で頭に浮かぶ欲を全部口から、白い息と一緒に吐き出す。待ってて、と私を放そうとするマツバのマフラーを引っ張る。
今マツバに離れられたら、寒くて寒くて、そしてちょっぴり寂しくて、やっぱり寒いから。温もりが離れていくのが嫌だった。

「…もーちょっとこのまま。」
「…じゃ、あと5分だけね。」

朝ごはん食べたい 寝たい マツバに包まってたい
欲望ばっかりの私も悪いけどその欲望に答えちゃうマツバも悪いんだから。…なーんて。
あったかくて短い5分間の中で、私はそんな事を思ってしまった。



「…あー、目が覚めた。おはようマツバ。」

朝食を食べてやっと完璧に目を覚ました私は、クスクスと笑うマツバに頬を膨らませた。

「何で笑うのよー」
「…だ、だって…さっきまで子供みたいだったから。」
「悪いね、毎朝子供で!」
「ううん、僕は子供なリゼも今のリゼも好きだし。」

さらりと言ってのけるマツバの言葉に、本当に私以外の女の子にそんな甘い言葉を吐いていないんだろうかと心配しながらも、思わず赤面。



「そういえば今日、2月10日だっけ?」
「そーだね、ニートの日だ!」
「ニート?」
「うん、つまり、私の日ー」

にっこり笑って彼に抱きつく。カラン!と音を立ててスプーンが床に落ちた。でもそんなの気にしない。

「リゼの日か」
「うん、そうだよ私の日。だから今日はマツバと一緒に居たいなー」
「…でも今日はジム戦が…。」

困ったように壁にかかったカレンダーを見るマツバ。そこには赤い三角マークが毎日のように続いている。三角マークはジム戦の日。私と過ごせない日。
寂しいなら一緒にジムに行けばいいじゃないかと思うけど、外には出られない、出たくない。だって寒いから。
あと、マツバ以外の人が嫌だ。マツバ以外の人がマツバと関わっているのを見るのが嫌だ。

「…ふぅん、」

つまらなそうに、声を低くしてみれば、頭をポフポフと軽く叩かれた。

「じゃぁ、今日だけ特別に一緒に居ようかな。」
「…ほんと?」
「リゼの日なんだろ?」

嬉しい!とマツバの背中に回した腕に少し力を込めるとマツバも私をギュ、と抱きしめた。



今日は210
(といっても私はニートじゃないけど)
(ただマツバと過ごす時間を確保する理由がほしかっただけなの。)



「何して過ごすの?」

耳元で質問するマツバに、同じように言葉を返す。

「マツバは何がしたい?」
「…うーん、リゼが大好きなお昼寝は?」
「グッドアイデアだね!」

隅においておいた(きっとマツバが後で片付けようとしていたんだろう)布団を勢いよく広げて上に転がる。
横にマツバが入って来て、ギュウと抱きしめられる。負けじと私も抱きしめる。

(ああ、あったかい)

ずっと2月10日だったらいいのに、なんて。



10/02/10
チャレンジャーかわいそう


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