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「仕方がありません……ロケット団はここで解散します。」

展望台に響く、彼の低く落ち着いた声を聞いた。彼の名前はアポロ。つい数十分前に初めて出会った人。
アポロさんとのバトルは、凄く楽しくて、何より本気で戦ってくれてるのが嬉しかった。向こうはロケット団復活がかかっているからだけれど。

「えっ、解散するんですか……」
「貴方みたいな子どもに負けたのです。……我々がこんなに弱くてはサカキ様も帰ってこないでしょう。」

過去に私は何度かロケット団と対立してきた。

でも別に、彼等がどんな悪事を働こうが私は知らない。私はただ、バトルがしたかっただけ。
そのうち、彼等の悪事を一緒に止めよう!とか言われて。でもそんなの私には果てしなくどうでもいいことだった。ただ、バトルがしたかっただけ。

私がロケット団とバトルをすることで、彼等の邪魔になると知ったのは、今この展望台だった。

「居なく、なっちゃうんですか?」
「勿論、そのつもりです」
「そんな……」

貴方達ともう戦えなくなっちゃうの?

「嫌、ですッ!」

エレベーターに向かうアポロさんの背中を引っ張る。

「何故止めるのですか……私は! 我々はッ! 貴女を憎んでいるんですよ!」

貴方の同情なんていらないんです!と彼は私を睨んだ。

「私はただバトルがしたかっただけなの……お願い、消えないで、何でもする」
「『何でも』?……貴女の名前は」
「……リゼ」
「そう。……リゼ、馬鹿な貴女に教えて差し上げましょう。貴女が今どんなに愚かなことを言ったのか」
「???」
「悪人に『何でも』は禁句ですよ。そうですね、なら……」

突然元気になったアポロさんは、最初に会った時と同じ顔をして私の耳に囁いた。

「ロケット団に入るというのはどうです。我々にとっての強い邪魔者と貴女は戦える。我々は貴女という力を得る。win-winですね。」

「強い人と戦えるのですか」
「ええ、貴女がロケット団に居るだけで」

今以上にバトルが、出来る。理由なんてそれだけでいい。

「……入りたい」

アポロさんは、にやりと口角をあげて「歓迎しますよ」と額にキスを落とした。
あのマントの人、悲しむかな?もしかしたら「寝返ったな!」って怒るかな?

……。



寝返る?
最初から味方じゃなかったの

さようなら、平和を愛する人たち。
すぐ戦いに来てね、待ってます。



10/02/11
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15/03/19


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