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俺の彼女は、生物学上で性別は女なのだけれど、男に生まれるべきだった人間が何かの手違いで女に生まれてしまったのだと思うくらいに女の定義からはかけ離れていた。
顔とか、体つきは女そのものなのだ。けれど性格は、大和撫子と180度真逆であるとだけは、胸を張って言えるだろう。

きっと神様が居眠りしてたんだよ。そうに違いない。と、俺は何度も思った。というかそうであって欲しいのだ。目の前で寝癖の酷い、寝起きの彼女を見て、俺は何度吐いたか分からないため息をもう一つ吐いた。

仮にリゼが男だったとしたら、きっと俺達仲良くなれてただろうさ。

「起きろ、朝だぞ。学校遅れるぞ。」
「・・・五月蝿い・・・寒いんだから布団取んなマツバーカ。」
「あ?」

ぎゅうと布団の端をつかんで放さない、その白くて小さな手を俺はパシンと軽くはたいて無理矢理布団を引っぺがした。その拍子に彼女のパジャマがはだけてしまったらしく、先ほどはたいた手と同じ白い腹部が、惜しげもなく俺の前に現れた。

「・・・お腹寒いじゃん」
「ああ、だろうな。」

もぞもぞと起きる体制になるリゼを、俺は冷めた目で見つめていた。何故俺がこんな女の世話を見る必要があるのだろうか。
疑問は形を変えていき、最終的にはイライラという形で俺の胸に収まった。

「早くしろよ」
「うるさいなー・・・・・・ん。」

リゼが俺の方へと両手を伸ばした。毎朝の恒例である。

「おはよのチュ」

彼女の声が俺の耳に届いたときに、俺はその手を取って軽くキスを落とした。柔らかい唇の感触は、毎朝の事ながら未だに慣れる気がしない。



「お前なぁ・・・下着くらい上下揃えろよなぁ・・・」
「いーじゃん私の勝手でしょー」

俺の次のイライラはリゼの着替えで起こった。仮にも男である俺の目の前で彼女が普通に着替えている事について突っ込むのはもうやめた。
毎朝の事だけれど細いラインに少しドキリと……したって、いいだろ。俺だって男なんだから。
しかし彼女の下着に対する適当さといったら、そうやってドキッとした(悪く言えばムラッとも言う)気持ちを一気に萎えさせるのだから、褒めたものだ。手を出したくたって出せねーよ。
そんな俺の考えている事なんて露知らずにリゼはこれまた亀の歩みで制服に着替える。いい加減にしろよ遅刻するだろ!



(ああもう、すっげぇイラつく!!)

背中の小さなぬくもりを感じながら、俺はため息と舌打ちを同時にした。
遅刻しそうだって言うのに朝ごはんはノロノロ食べるわ、学校の準備してないだの抜かすわ。
俺の神経を逆なでするのが神がかり的に上手な彼女のせいで、朝っぱらからアドレナリンが溜まりに溜まって苛々苛々。

(まあ、この苛々はハヤト辺りに撒き散らすから良いとして。)

問題は一つ。
如何して俺は、こんなガサツでいい加減で、性格が悪いこんな奴のことが。



No reason
(ふう、ギリギリセーフ!マツバありがとー大好きー)
(!・・・・・・ああ、もう。畜生!!)



何日かけたって答えが出ないこの問いに、俺は更にイライラするのだった。



10/11/22
たまには振り回される俺マツ

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