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この時期になると、防寒グッズは必要不可欠と言っても良いくらい大切なものだ。マフラー、手袋、耳当て・・・その他色々な防寒グッズが町のショーウィンドウに飾られているのを見て、ああそんな季節になったのかと、心の中でぽつりと呟いた。

「寒くなってきたねー」

となりで歩く、マツバに話しかけると、彼は既にマフラーの中に顔を埋めていた。(というか彼は不思議なことに一年中マフラーをつけている。その所為で私の季節感は狂いつつあるのだ)

「リゼもこんなマフラーそろそろ買うの?」

マツバはショーウインドウを指差した。
そこには白からピンク、水色など、色々な色が綺麗に並べられている。・・・正直、可愛いし欲しい。去年まで使っていた白と黒のチェック模様のマフラーもあるけど、それはお母さんにでも譲って、新しく買おうかな。なんて私は頭の隅で思った。

「んー・・・買おうかなぁー」

マフラーの横にちょこんと添えられた同じ色の手袋も可愛いなぁと視界に入れながら、思ったことを口にすると、隣の彼はニコリと微笑んだ。

「そっか。」

その時、通りを一つの風が通り抜けた。
冷たい空気を乗せた風が、露出している肌の部分を撫でて行き、思わずぶるりと体が震えた。(寒ッ!)
これはいよいよ早めに決断を下さなければ。今月の財布事情どうだったっけ。なんて思考を張り巡らす私に、マツバはまた少しだけ笑った。

「何で笑うの」
「いや・・・あ、そうだ僕のマフラー貸してあげるよ。」

唐突に首にふわりとかけられた布に、私がマツバの方へと向くと、マフラーをつけていない彼(新鮮だ)が、丁寧にマフラーを巻いてくれていた。
途端に、首の、頬の冷たさはマフラーの温かさにじわじわと溶けていってしまった。

「・・・あったかい」
「まぁ、ずっと僕がつけてたってのもあると思うけどね。」
「マツバ寒くないの?」
「寒いけど・・・ほら」

女の子が体冷やしちゃ駄目だろ?
そう言って柔らかく笑ったマツバに、私の顔は先ほど以上に熱くなった。



ぬくぬく
(全く、これだからマツバはモテモテなんだよ!)



マフラーから微かに香る、彼の匂いにもドキドキして。いつの間にか、さりげなく繋がれていた温かい手にさらにドキドキして。
徐々に体温が上昇する中、彼さえ居てくれたら、寒い冬も防寒グッズが必要ないのかもしれないと、思い始めてしまった。

そう思った瞬間に、彼はくしゃみを一つ。

やっぱり寒いんじゃないのと咎めた結果、私達は仲良くマフラーを二人で使いながら、帰路につく事にした。
近づきすぎた距離の所為で、学生鞄がガチャガチャとぶつかる音がして、その度に二人の表情に、笑顔が散りばめられた。



あなたとくっついて歩けるのなら、買うのは手袋だけで良いかもしれない



10/11/22

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