不思議な人

「さっきは銃突きつけてごめんね」

『へ?いえ、大丈夫です』



さっきとは打って変わってとても優しそうな表情

多重人格?

なんて思ってしまうほど



「取り合えず、日本人だよね」

どこから来たの?



そんなことを言われても

”異世界から来ました”

と素直に言えばいいのか



いや、どう考えてもおかしいでしょ



『え、あぁ、ええと……』



どうしたものかと渋っていると

不思議そうに首をかしげるドンボンゴレ様

言ってしまった方が後々楽なんだろうとは思うんだけど

不思議な力も、もともとある力も、全部説明しないといけないことが起こる



『あの、私異世界から来ました……』

「……え?」

『信じていただけないのも無理はありません、ですがそういうことなので』



ぽろっと落ちてしまうのではないかと思うぐらい見開かれた目

少し考えるそぶりを見せるドンボンゴレ様

あぁ、やっぱりいわなきゃよかった

適当に嘘ついておけばよかった



「君の世界はどんなところ?それに、銃を花に変えた手品みたいなのは何か別の力?」

『えぇと、話せば長くなるのですが……』



ゆっくりでいいから教えてほしいと

優しい笑顔で言われた

この人の本当の姿は一体何なんだろうか

濁りのない眼には嘘はつけないと思ったんだ

私は話しだした



魔法系の力が発達した世界で、9割の人間が魔法を使えたこと

争いも少なくて平和な毎日を過ごしていたある日

巨大な魔物が現れて

戦った末ピエロに助けられ

この世界にやってきたということ



ドンボンゴレ様は何も言わずに聞いてくれた



『あ、でも銃を変えたのはたぶんピエロにもらった力です』

「なるほど、話してくれてありがとう」



やっぱり優しい笑顔だ

なんだかむずかゆくなってこっちまでおかしくて少し笑った



「あ、俺の名前は沢田綱吉でボンゴレっていうのはこの組織の名前なんだけど マフィアだから」



えぇ、多少の想像はついていましたよ

あなたの態度の二面性

そして銃みたいな物騒なものを平気で人に突きつけて

あの紛争にもおそらく参戦してたのだろう

悪い人である

という認識はあった



『そうですか、私に人を殺させるんですか?』

「そんなことしなくていいよ、自警団みたいな感じだしね」



マフィアが自警団ねぇ、そういえば元の世界でもいい悪党ってもはいたなぁ

世の中、形は違えど似ているのかもしれない

そんなことを思いながらふと沢田さんの顔を見た

やっぱり優しそうに透き通った目をしている

こんな人がマフィアだなんて

不思議な感じだなぁ

  

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