スーツ


『どこ……ここ』



次に目を覚ましたところは白色を基調とした部屋の豪華そうなベッドの上だった

病院かな?

一瞬思ったけどこんなに豪華なわけがないと打ち消した



ガチャ



ドアが入ってきたのはスーツの男性

ススキ色の髪がよく似合っていて、人のよさそうな顔をしていた



「あ、目が覚めたんだ!気分はどう?」

『えっと、すみません記憶があいまいで……』



「あぁ、ごめんね 紛争に巻き込まれて倒れちゃったんだよ」

『そうなんですか、看病していただいてありがとうございます』



少し、怖いと思った

どこか、冷たくて、悲しいまなざし

何かを覆い隠すような

あんな話を聞いたから、余計にそうなんだと思った



「ねぇ、あの馬鹿げた手品はなに?」

『……何のことでしょうか』



真っ黒な銃を私に突きつける男

でも、一体どう説明しろと?

見ず知らずの人に言えるわけがない



「とぼけないでさ、さっきみたいにしてよ」

『何をしろっていうんですか?悲鳴でもあげて泣き叫べばいいですか?』



なんでこんなに冷静なんだろうと自分でも不思議に思う

もうなんでもよくなってきた

めんどうだ、うっとうしい

私はこの世界では孤独だ、何をしても誰にもとがめられなければ心配もされない

問題はない



「花を咲かせたのはおまえだろ?」

『さぁ、何のことでしょうか?』



男も私も一歩も引かない

手品だと、簡単に嘘をついたって構わない

でもあのピエロの顔が浮かんできて無性に腹が立つ

私を孤独にしたあいつが憎かった



パァン!!



銃が鳴り響いた

相変わらずスローモーションに見えた

パチン

指がなる

でもそれは私じゃない

男の手に会った銃も飛び出した球も消えて、私の目の前にはピエロが立っていた



「だれだ」

「ワタクシのご主人さまですので、まだ殺さないでいただきたい」



私をかばうように立つピエロはうーんと考えるようなそぶりを見せていた

スーツの男は怖い顔をしてにらみ合っている



「そうだ、この子、櫻井深雪をここに住まわせて下さい」

『はっ!!?ちょっと何言ってんの!?』



好都合です

そう言って笑うピエロ

私も男も目が点だ



「……それは「いいじゃねえか」



扉にもたれかかって立つのはボルサリーのをかぶった男だ

リボーン、男は小さくつぶやいて息を漏らした



「何かあってからだと遅いだろ」

「俺に指図するなだめツナ、こんなに面白そうな奴捨ててどうする」



いや、拾われた覚えないし

ニヒルに笑うリボーンさんはどうやら変わり者がお好きなようだ?

と私は思いながらピエロの顔をのぞく



「どうしました?」

『なんでもない!あんたのせいで私の人生台無しになりそう』

「はははっ、もう台無しじゃないですか」



あんたが言うなよ

そしてなぜ目があったんだ

ピエロはにやにやと笑いながら交渉しましょうと言った



「この子はとっても強いので、使ってやってください、ただしボンゴレには所属させません」

「それはどういう意味だ?」

「ドンボンゴレ、この子は何にも属さない」



にこにこといつも通りの笑顔

ドン、ということはトップの人か

というかピエロはなぜ知っている?

やっぱり神様なのかな?

そんな疑問が渦巻く中



「まぁ、いいか 仕事はしてもらうよ」

『……よろしくお願いします』



複雑だ、

衣食住にはきっと困らない

でも、とても嫌な気しかしなかった



「大丈夫ですよ、私は常にあなたのそばに」



また、右目にキスをし消えたピエロ

だったら消えるなといいたい

これから不安な生活の始まりだ


   

[ 5/22 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -