その日の深夜に事件は起きてしまった…












いつも口ずさむ歌を歌いながら、玲ねぇさんは村の中をいつもの通り裸足で踊りながら歩く


ただ1ついつもと違う事は
玲ねぇさんが歌いながら動かしている物…



村の跳ね橋のレバーだった。


玲ねぇさんはガラガラと音を立てながら、跳ね橋を全て下ろし、外へと再び歌いながら軽やかに踊りながら歩いて行く














ガシャァ!!















フッと少年、タムロが遠くで聞こえた音と悲鳴に目を覚ました。
目をさすりながら、家のドアを開け 外を見た。



そこには何人もの妖怪が村の住人を襲っている様子が目に入って来る。















「うわぁあ!!」


「きゃああああ!!」


「いやーーー!!」














家畜も泣き出し、村は大騒ぎになっていた。

悲鳴を上げて逃げる人に、妖怪は無残にも斧を叩きつけ
刀などで切られた人々の血が村を紅く染めて行った…














「よ……妖怪……!?」














その声に反応した妖怪がタムロに襲い掛かろうと向かって来たが、慌てて家のドアを閉める。


そのドアに向かい、妖怪達は破ろうと攻撃を与える衝撃にタムロは小さく悲鳴を上げた。















「――どうしたタムロ!?」


「父さん、妖怪だ!!
妖怪が村に沢山……」


「何だって!?」














焦るタムロの前に、ドアから離れろと促す姿があった
そして――














バァン!!














「げはッ!?」


「…あれ
このドア内開きだったっけ。」













悟空は如意棒を担ぎ、ドアを蹴破り妖怪を吹き飛ばした。














「――オラァ!!」


「こちらへ!!」


「うぉおおおおおおおお!
――がッ!!」











悟浄は錫月杖で妖怪を切り刻み、八戒は村の住人の誘導をしながらも応戦した。
もちろん悟空の攻撃も妖怪を次々になぎ倒し、妖怪達の顔色も一気に青ざめて行く。















「…なッ
なんだコイツら…がはッ!!」















驚く妖怪の頭に風穴が開く。

それに驚いた妖怪はガクン…と全身の神経が切れ、ドサリと床に倒れた。










「…二時間も早く起こしやがって
覚悟はできてるだろうな ウジ虫ども」


「本当に寝起き悪いんだから…」


「……
『純白の法衣に銀の短銃』
『紫暗の瞳に金糸の髪の僧』
――そして
『鬼神のごとき4人の従者』――」











妖怪はジリッと後退りしながら、5人の姿を見て冷や汗を流す。












「ま…まさかコイツらが あの
玄奘三蔵一行――!!













東方より来し彼らの轍には

妖怪の屍が 山を築くと言われている

残虐非道のお尋ね者集団――












「〜〜三蔵一行だとォ!?」


「少し前から姿をくらませ死んだと噂されていた、あの……!?」


「勝手に殺すなっての」


「そーいや最近『三蔵一行!!』っつって襲って来る連中がいなかったな」


「そうだよね。私ずっと西域に来て忙しかったから考えてなかったけど…」


「…もしかして
気づかれてなかったんじゃありませんか?
汚すぎて。」


「……マジで?」








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