バシィッ!!















「――歌うなと言ってるだろうが!!」


「アンタなにもそこまで……」


「皆 息を潜めて必死に忍んでいるんだ
この村が妖怪に見つかったらおしまいなんだぞ!?」


「すまないねぇ…
アンタも可哀想だけど、あたしらだって苦しいんだよ」


「………」















玲ねぇさんを家に連れて行った2人の夫婦
おじさんは玲ねぇさんの頬を平手で打ち付け、おばさんが必死でフォローをしていた。

玲ねぇさんは床に座り込み、ぶたれた頬に手を添えたままで
ぼんやりとしている。















「タムロのオヤジだって妖怪から逃げ帰って来たじゃねえか
――この娘の旦那は
運が悪かったんだ。」

















……

………















「ふ、と、ん、だーーーーっっ!!」


「すまんね、こんな狭い部屋しかなくて」


「いえ、そんな滅相もない
屋根のある所で寝られるだけでも幸運なぐらいですから」















部屋の入口には少年の父親が八戒と会話していて
背後では悟浄が悟空へと枕を投げる


顔面に当たる枕を悟浄へと文句を言いながら投げ返すと、八戒は笑いながら父親へと謝る。














「あ、すぐ静かにさせますんで。」


「じゃ、ゆっくり休んでくれよ
明日の朝は6時にな」


「ありがとうございます、おやすみなさい」


「おやすみなさい」















ドアが閉まり、5人だけになると部屋を悟浄が物色し
今まで見たことのない柄の毛布に驚いた














「おーーーーー
すっげー派手な柄だな」


「あーー
いいですねぇ異国情緒があって
同じ桃源郷でもこんなに文化が違うものなんですね」


「…ああ
それだけ西まで来たって事だ
当然、異変の影響も色濃い。
妖怪の出現率が格段に上がったのがいい例だな」


「本当に集団なのから、数人でも1日に何度も戦ってるよね…」


「敵のフィールド内に踏み込んだようなものですからね」


「今まで以上に気ィ引きしめろってんだろ?
そんなん、ここしばらくで骨身に沁みてるぜ」


「んーーーでもさあ
目新しいモンがいっぱいでちょっとワクワクしねえ?
旅してんな〜〜〜ってカンジ。」














悟空はいつもの明るい笑顔を皆に向ける。
荷物の整理をしながらも、惷香は悟空の笑顔に釣られて笑顔になる。















「…二年近く旅して来て、今さら何言ってんだ」


「猿は気楽なモンだな
俺なんか、この辺りの水が合わなくってよ」


「ずーっとゲリ河童だもんな 悟浄」


「デリケートなんだよ
おめーと違って!!
あわれみの目で見んな!!」


「はいはい
もう寝ないと、明日は早いんですから」


「起きねェ奴は置いて行くからな
おい惷香。早くこっちに来い」


「何言ってるのよ!」


「あぁ?コイツらと雑魚寝なんて許すとでも思ってんのか?」














三蔵は1つだけあるベッドに横になり、布団を捲ると惷香を呼び寄せる。
さすがに困惑しながら逃げようとするのだが…














「って、当たり前のよーに自分だけベッドで寝てんじゃねーよ
何様!?」


三蔵様。


「…うわぁ……」


「いつまで荷物整理してやがる
さみーだろうが」


「1人で寝てよッ
さすがに…」


「あぁ?貴様な
最近風呂入ってないとか抜かして近寄る事も拒否しておいて、まだ近寄らねーつもりか。
いい加減限界なんだよ」


「…今このエロ坊主サラッとエロ発言しやがったぞ。」


「関わらない事が一番ですよ」


「えー俺も惷香と一緒に寝てーよォ」


「オメーの寝相で内蔵出るだろーが!」


「やっ…ちょ、三蔵引っ張らないで…」


「おい…ここでおっぱじめんじゃねーぞ?
さすがにそれは勘弁してくれよ」


「ヤるなら見学料取ってやる」


「しません!!
三蔵!もう寝るよッ!」


「怒んな…ったく。」








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