参拾参



ジープに荒々しく悟空を投げ込み、悟浄もドサリ…と腰を下ろした。

惷香も慌ててジープの向こう側へと回り込むと、ジープに乗り込む。
















「では発車しますよ」


「さっさとしろ」















再び西へと向かいながら
未だ癒えない悟空の麻痺に惷香は心配していた。















「悟空。
辛いなら膝枕しよっか?」


「大丈夫だって…」


「でもまだ…ッ」


「おい。
お前は心配が過剰なんだよ。
本人が大丈夫と言うなら放っておけ」


「でも……」















三蔵の言葉に、一瞬前に身を乗り出したが
悟空をチラッと見やれば、力ない笑顔をヘラッ…と向けて来た。

多分痺れ薬の類いだとは思う。
時間が経てば時期に良くもなる














「まぁ寝てろってのよ。
そうすりゃ少しは静かになるってモンだしな」


「なんッ…!だと…コノヤロ……」


「「「「……」」」」















やはり自分で思ってる以上に身体の自由は利かないらしく、悟空はズズズ…と深く滑るようにダレた。














「悟浄も煽らない事。
それにしても最近通る道はずいぶん……」


「ケツが痛くなる道ばっかじゃねーか?」


「仕方ありませんよ。
このルートが最短なんですから
それよりも、今夜は野宿になりそうですね」


「……チッ」


「はァ?マジかよー
ったくよ…」


「次の町まで距離があるの?」


「そうですね。
地図を見た限りですと、ここから2日は掛かるかと思います」














器用にハンドルを指先だけで動かしながら、八戒は地図を広げた。








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