弐拾五




「セコイんだよな
やる事がさーー」


「……ッ
黙れクソガキがぁあ!!」
















羊小屋の手すりに座る悟空に
妖怪は右拳を振り上げたのだが

悟空は軽く後ろに仰け反る反動で片足を軽く振り上げた。



そのまま妖怪の腹部に足が当たり、妖怪は破壊音を立てながら天井を突き破ってしまう。


と、言うか
めり込まれてしまった…














「…………悟空」


「あ、ワリ」
















ボロボロになった妖怪を縄で縛り上げ、村人達を羊小屋へと呼び寄せ説明をする。
















「………っつーーワケだから
コイツらの処分はあんたら村の代表に任せるわ」


「難しいかもしれませんが、あまり感情的にならないように」


「おお……
なんとご聡明で慈悲深い…流石は名高き三蔵法師御一行様」


「我々に出来る御礼ならなんなりとお申し付け下さい!!
そうだ、まずは最上級のアサゲ(朝食)を御用意せねば!!」


「おお
そうか!!」















村人達が盛り上がる中
三蔵は八戒の耳元でボソッと何か呟き、そのまま俯く。
















「『いいから寝かせろ』と申しております」


「っつーか
あの鳥男にもちゃんと詫び入れとけよ。
村中で疑ってたワケだし」


「そっ、それは――その」


「確かに淀仁には悪い事をしたとは思うが……」


「やはり妖怪が近くにいるというだけで気が気じゃあないし」


「疑われても仕方ないというか……なぁ?」


「…………」

















村人の会話を聞いた悟空は何やら考え込んだ表情をする。


だが夜も明け方に近い神隠し事件も無事に解決し、借りている家へと足早に戻ったのだった。







.

[ 28/40 ]

[*prev] [next#]
[目次]
[栞挟]
書物一覧に戻る



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -