弐拾参



お茶も飲み終え、淀仁の家から出れば空に無数の鳥が飛び交っていた。


そんな鳥を見つめ、淀仁は今まで見た事のない切ないような表情をする…















「―――どうしたんだ?」


「……いえ、なんでもないです
ああ、今日は久々にお腹いっぱい食べられたから、みんな上機嫌で帰って行くなァ」


「帰る?
そっか、コイツらここで飼われてるワケじゃないんだよな。
こんなにたくさん、何処に帰んだろ」


「そうだね……じゃあ
魂は何処に還ると思う?」


「………え?」


「―――例えば君や
大切な人達が死を迎えたとして
その魂は、何処へ行くと思うかい?」

















淀仁は悟空の隣で、空を見上げながら問いかけた。

2人の会話は、淀仁家の入り口の傍にいた4人には聞こえる事もなく――















「……タマシイとか、そうゆうのはよく分かんねーけど、死んだらそれでオシマイってゆーか……
てか今は、死んだ後の事考えるよりか、生きていくのを頑張んなきゃ…みたいな」


「――確かに
それが一番大切な事だよね。
ははは
変な事聞いてゴメン」














離れた位置で2人を見つめながら、八戒は口を開いた
















「――どう思います?三蔵」


「……何がだ」


「村の人々はあの方の仕業だと疑っていましたけど
実際、村人の失踪は他に人為的な要因があるんでしょうか」


「さぁな
望み通り忠告はしてやったんだ
後は俺達に関係のねえ事だろ」


「私は……失踪には淀仁さんが関わってる気がしない
何となく…なんだけど」


「何となく、で納得する訳がねえだろうが」


「う、ん。
分かってるけど…」













村に戻ろうとした時
悟浄は手編みの小さな手袋を拾い上げた。
















「…………?
…なんだコレ」







.

[ 26/40 ]

[*prev] [next#]
[目次]
[栞挟]
書物一覧に戻る



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -