弐拾壱
そんな会話後、ゆっくりとした夜を過ごし眠りについた。
朝になり、あの丘の上にある淀仁の家へと向かう。
「そんな―――
とんでもないッ
村人を襲うなんて……!!」
突然訪問したにも関わらず、淀仁は5人を嬉しそうに招き入れ、お茶とお茶菓子まで出してもてなす。
村人を襲う話を単刀直入に聞いてみれば、淀仁は両手の平を降参するかのように上げて見せた。
「……お前らが安請け合いしやがるせいで、結局妖怪と茶ァ飲んでんじゃねーか」
「俺に言うなっつの」
「ホラ悟空。
お菓子溢してるよ?」
「うめー!」
ボリボリとお菓子を頬張る悟空は、遠慮なくテーブルに置かれたお菓子入れにあった全てを平らげた。
「私には以前あの村で暮らしていた恩もありますし、そもそも私、ベジタリアンなので。肉食べるとお腹下るし」
「ええ、たとえそれが事実だとしても、ここで暮らしている以上こうして濡れ衣を着せられてしまいます。
貴方にとっても不利な事だとは思いますよ」
「なんでここから離れないんだよ。もう鳥を世話する必要はねぇんだろ?」
「……私は、鳥葬という風習を貴重な文化的思想だと考えています。
いつかこの桃源郷が再び平和になった時の為に、この尊い思想を継ぎ残していきたい―――
それがここに留まる理由です」
「――――本当にそれだけか」
「三蔵……」
「え?」
その淀仁の聞き返しに反応する間もなく、悟空の大きな声が部屋に響いた。
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