弐拾


村人達の勝手な押し売りから、何故か淀仁を住んでいる丘の上から追い出す話となった……




三蔵のお経も終わり、村を上げての借りた家は、部屋は2つにリビング、キッチン。
バス、トイレと言う民家。















「は?
何でそんな話になりやがった」


「いやあ成り行き、と言いますか…ね?悟浄」


「勝手に盛り上がって押し付けて来たんだっつーの。
―――所でよ…
テメェは何膝枕されてやがんだクソ坊主!!」


「経を唱えた疲労を養う為だ。
何か問題があるのか」


「問題だらけだっつーの!
2人きりの時にやれよ!!」


「なら出ていけ。
安心して休める」


「ふ ざ け ん な !」


「悟浄落ち着いて。
しょうがないでしょ?
三蔵がお経を上げてくれなかったら、私達は寝泊まりする場所もなかったんだから、せめて…ね?」


「惷香!!
こんなクソエセ坊主を甘やかすとロクなモンじゃねーぞ」


「まぁまぁ
いいじゃありませんか。
はい三蔵。コーヒーです」


「ん」














やっと膝枕から起き上がった三蔵は、新聞を広げてコーヒーを飲む。


膝枕で多少なりにも疲れた足を伸ばしながら、惷香は淀仁の事を考えていた。


と、それは悟空も同じだった様子で――














「なぁ
俺、淀仁が誘拐したりする奴には見えなかったけど」


「そうですね。
僕も淀仁さんではないと思いますけど」


「何か淀仁さんは久しぶりに誰かと会話したって感じがしたかな…
きっと丘の上で鳥以外と交流がなかったんじゃないかなぁ」


「明日聞いてみれば分かる事だ
まぁもし犯人だとしても、言うとは思えんがな」


「そりゃそーだ。
"私が犯人です"なんて言うヤツがいたら、はなっからしねーだろ」







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