拾九




「……そういえばこの辺りには鳥葬の風習があったとか」


「ええ、数年前はこの村も人間と妖怪が共に生活をしておりまして、鳥葬を行なっていたのはその頃までです。
――妖怪が暴走してからは、鳥葬場のある丘の上まで遺体を運ぶのも危険だから廃止されましたがね。
それにあそこには、この村出身の妖怪が一人住み着いていて、何故か今も鳥達の世話を続けてるんですわ。」














年配の男性は、困った顔をしながら教えてくれた。

その妖怪は直接的な被害はないらしいが、妖怪が近くに暮らしているだけで気が気ではないと、村人達は神隠しの原因はその妖怪なのではないかと噂になっていると言う。














「うーん
そんな事するよーな奴にはあんま見えなかったけどな」


「穏やかな雰囲気…と言うか
抜けてる気がしたけど」


「!?
あの男――
淀仁(タンジン)と会ったんですか?」


「まァ、ここに来る途中でチラッとな」


「おおッ
流石は三蔵法師様御一行だ。
このご時世に妖怪と出会ってもたじろがないとは!!」


「いやまぁ
はははは」















空笑いをしながらも、三蔵一行には立派な妖怪が3人もいる事は当然言える訳もなく……














「お坊様がたがきっと
あの男とも話をつけて下さるに違いない!!」


「おお、そうか!
退治とは言わんが、あの丘から追い出して頂ければ安泰だ!」


「いやあ
有り難い有り難い」


「―――はい?」






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