印・七


惷香は調理場で皆のお茶の用意をし始めた

ガスレンジ前でヤカンに火を掛けると
ぼんやりと火を見ていた
すると後ろから三蔵の声がした








「おい」









身体が無意識にビクッと動く

振り返ると調理場の入口のドアに寄りかかって腕を組む三蔵がいた








「……昨日俺がお前に何かしたか?」


「え、あの…」









顔をあからさまに横に背ける
さすがに直視出来ない―








「おいッ
いい度胸だ」









三蔵はゆっくりと近寄ると
惷香の腰に腕を回し
グイッと引き寄せた


三蔵が惷香の顔をジッと見回すと
胸元にチラリと赤い痣が見えた

三蔵は惷香の胸元のシャツを少し捲ると








「何だこれは」


「え?」


「赤くなっているな
虫刺されか?」


「え…?あ、えッ!?」








一気に惷香の顔が赤くなって行く
惷香は手でシャツ掴み赤い痣を隠す

その態度にピキッと音がした








「いい加減にしろッ!
何があったかを聞いているさっさと言えッ!
ブッ殺すぞ!」


「〜〜〜ッッ!!
これは昨日貴方が付けたんですッ!」


「俺が?どういう…」








三蔵も気が付いた様で
ピタリと動きが止まった



そう
三蔵が惷香に付けたのは








キスマーク―…





.



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