印・八


三蔵は惷香の腰から腕を離し
少し離れると煙草に火を着けた








「…で、昨日俺はお前に何を…した?」


「え、と…」


「何をした?」









三蔵は更に眉間に皺を深め惷香を睨む








「昨日…
ベッドにその私を押し倒して…」


「ッな……?!」









三蔵は慌ててガタリと壁にぶつかる









「口と…首とか…
それ以上は…何も…」








顔が真っ赤で涙まで出そうな顔をする

その顔にフゥと溜息を洩らす
三蔵は惷香の頭に手をポンと置くと








「分かった」









三蔵はそう言うと置いてある灰皿に煙草を消し
調理場の入口へと歩きドア前で言う








「俺の物の印…だな
消えた頃にまた付けてやる
覚悟してろ」









そう言うと調理場のドアを閉め
出て行った

惷香は痣を手で押さえながら壁伝いにズルズルと座りこんだ



貴方の物の印


首元のキスマークを左手で ソッ
と触れた―――


惷香はシャツのボタンと1つ多く留め
お茶を淹れると皆の元へ帰った



その後三蔵に何かされたか皆に心配されたが
ネギを巻かれ梅干しを付けられ
味噌を塗られた姿を思い出し笑ってしまったと誤魔化した







痣が消えた頃

彼はまた私の元へと来る






印を付けに――






印・fin

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