印・五
ドサリ――
その瞬間視界が宙を舞い
天上を背に三蔵の顔が視界に入った
「ちょ――
ちょっとッ!
熱出てどうにかなったんじゃないの?」
「かもな……」
そう言うと三蔵は惷香の首元に顔を埋めた
耳元では三蔵の熱い吐息
腕には三蔵の熱い手が掴まれている
「ね、熱上がるよ?」
「もう上がんねぇよ…
少し黙ってろ」
そう言うと三蔵の唇が惷香の耳元から首にツゥっと伝う
「っっ――!」
鎖骨の下で三蔵の動きが止まる
「さん……ぞ…?」
三蔵に声を掛けても動かない
退ける様に惷香は横に移動し三蔵のベッドから抜けだし顔を見る
寝ている
「はぁ〜〜〜…
ビックリした……」
今になって顔が熱くなって来た
うつ伏せのまま眠る三蔵の頬に口づけをし
惷香は部屋を出て行った
.
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