印・四


その時部屋のドアが開き
惷香が入って来た








「あ、起きた?」


「お前も嫌がらせの何か持って来たのか?」








辺りを見渡すと
ぼろぼろになったネギや床に叩き付けられたであろう梅干し
味噌の付いたタオルが散乱していた








「皆が心配してるんだよ
この街には薬屋がなくて
民間療法にしようって話になって色々試したみたい」


「お前もか」


「私はお粥
普通ので期待外れかもしれないんだけど」








そう言うと惷香は1人用の土鍋をベッド横に置いた








「あれこれ何?」









棚には湯呑みに入ったどす黒い液体
匂いを嗅いでも

「うッッ」

となる様な物だ









「あいつらが置いて行った
殺す気か…全く」

「ああ、きっと大根とかレモンにレンコンの汁じゃないかな
解熱にいいって話したから
それにしても三蔵
皆がそれだけ心配してるって事だよ?」


「誰も頼んじゃいない」

「またそんな事言う」








クスリと笑いながら三蔵の額に右手を当て左手を自分の額に当て熱を看る








「まだ熱いね」









そう言うと三蔵の額から手を下ろした

が、下ろした手をグイッと掴まれる









「手冷てぇな」


「え?そ、そうかな?」








急に掴まれた手が妙に緊張する
別に初めてでもないのに…








「おい…こっち向けよ」


「え、あの」


「ッッ腹…いてェ…」








突然三蔵が胸を押さえた








「さ、三蔵!?」









慌てて横になる三蔵に近寄り
胸元を診ようとした




.

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