印・弐


街を歩き人に尋ねても
どうやら薬屋がないと言う

日頃この街では行者が薬を抱えて売りに来るそうだ

そしてその薬屋は何日か前に来たばかりで
暫くは来ないとの話だった








「困ったわね……」








惷香は仕方なく宿屋に帰り
事情を説明した









「それでは薬はないのですね
困りました」


「とりあえずタオルを濡らして頭を冷やそうぜ」








悟浄は水道でタオルをビシャビシャに濡らし
三蔵の顔にベタリと乗せた








「あ!ちょっと!!」


「てめェ…
何のつもりだ……」


「おっと絞るのを忘れてだな
すまんすまんッ」





『ぜってーワザとだ』






と惷香と八戒は思った


惷香が調理場から桶と氷を借り
タオルを冷やし絞った後
三蔵のおでこに乗せた

その頃悟空がバタバタと部屋に戻って来た








「さんぞーッッ!!桃缶!」


「今寝付いた所ですからお静かに」








八戒は口に人差し指を当て小さな声で言う
悟空も「あッ」とした顔をした後桃缶を三蔵が寝ているベッドの横の棚に置いた









「そういや薬飲んだの?」


「それがね…」








悟空に事情を説明すると悟空は








「だったらさァよく言う
【みんかんりょーほー】っての?
あれやってみるといいんじゃねーの?」


「民間療法…ですか
確かに今はそれしか方法がありませんね」


「どんなのあったっけ?」


「えっとね〜……」





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