風邪・四
「私薬苦手なんだよね……」
「ガキかてめェは」
「上手く飲み込めないんだもん」
「薬を口に入れて水で流し込みゃいいだろーが」
「すると薬だけ口に残るの
不思議…」
「つべこべ言ってねーでさっさと飲めっつってんだよッ!」
口に薬を押し込まれ 水を三蔵が自分の口に入れた
すると
三蔵の唇が惷香と重なり
水が流し込まれる
ゴ クン――――
「飲み込めたか?」
無言でコクリと頷く
「だったらさっさと寝るんだな
明日に熱下がらなければまた薬飲ませるからな」
三蔵にムリヤリおでこを抑え
ベッドに押し倒され布団をバサリと掛けられる
三蔵は食べ終えた茶碗を持ち
「すぐ戻る」
と部屋から出て行った
布団で口元を隠し
今になって口移しされた事を思い出し赤面した
薬も効いて来てか深い眠りに付いた
そして部屋の外でもドアを背に茶碗を持ったまま赤面している男が1人いた
顔の熱を感じなくなってから1階へと降り
茶碗を台所へ返すとまた惷香の部屋へと戻り
眠る惷香の横の椅子に座り腕を組んだまま夜が開けた
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